【2024とやま】募る不信「政治とカネ」
自民党派閥の裏金事件をはじめ、県内でも様々な問題が発覚しました。
県民の政治不信を深めた一連の問題を振り返ります。
自民党・野上浩太郎参議院議員
「不記載の形で処理をすることが長年の慣習だったということで、大きな政治不信を招いてしまったことについても申し訳なく思います」
政界を大きく揺るがした自民党派閥の政治資金パーティー事件。
県内では安倍派に所属していた野上浩太郎参議院議員と田畑裕明衆議院議員がそれぞれ派閥からキックバックされたパーティー収入を政治資金収支報告書に記載していませんでした。
野上議員
「私自身は還流の仕組みというものは承知をしておりませんでした」
田畑裕明衆議院議員(富山1区)
「初心に立ち返りまして信頼回復に向けまして地を這いつくばってしっかり活動していきたいと」
政界を揺るがした裏金事件。
裏金以外にも…発覚した新たな疑惑
「政治のカネ」をめぐる問題は後を絶たず、中でも田畑議員をめぐっては、更なる疑惑も。
開催を予定していた自身の政治資金パーティーの案内状に、「入金のみ」の項目を設けていたことが発覚しました。
政治資金規正法が禁じる「政治家個人への寄付」にあたる恐れがあるとして、野党から国会で追及を受けました。
岸田首相(当時)
「まずは議員本人が適切に説明責任を果たすことが重要」
しかし田畑議員は詳細な説明を避け続けます。
田畑議員
「違法性の認識は当事務所でお答えをした内容について、法的な専門家にも照会をかけたところ、全く指摘はなかったということをご報告させていただきました」
会見を開いたのは、問題発覚から1か月以上経過した後でした。
田畑議員
「人間田畑裕明として向き合ってまいりました。まず今回の未熟な判断に対しまして心よりお詫びを申し上げます」
繰り返したのは「未熟」という言葉。
田畑議員
「未熟な判断であったということでございます」
「繰り返しになりますが本当に未熟な判断であったということに尽きると」
自民に逆風 総選挙で苦戦
政治とカネの問題が尾を引く中、秋には就任したばかりの石破総理が衆議院を解散し、選挙戦に入りました。
与党が全国的に苦戦する中、”保守王国”とされる富山でも影響は避けられませんでした。
逆境に立たされた田畑議員は、信頼回復を訴えます。
田畑議員
「信頼回復、そして大いなる反省の上に立ち、国政で働くチャンスを皆さんどうかお与えをいただきたいと思います」
立憲新人・山登志浩候補(当時)
「私たちの税金を使って、裏金議員をまた再生産することが、道義的に政治的に許されるものでない」
田畑議員は再選を果たしたものの、前回の衆院選よりも大きく票を落としました。
次点の立憲民主党の新人候補には、わずか738票差まで迫られ、比例復活を許しました。
田畑議員
「信頼回復のために、一歩一歩丁寧に謙虚に仕事にまい進していきたいと思います」
浮上した新疑惑 無断・架空党員登録問題
しかし、当選後まもなくして新たな問題が浮上します。
田畑議員
「調査の結果、合計262名分につきまして、不適切な党員登録、党費の支払いが認められました」
本人の承諾なしに無断で登録したり、架空の名前で登録したりした党員は262人にのぼることを明らかにしたものの、自らの関与は繰り返し否定しています。
田畑議員
「もちろん関与はしてございません」
「真実を申し上げております」
「ご納得をいただけるようにこれは私がしっかり説明を尽くしていく」
質問が途切れないなか、会見は打ち切られました。
一連の問題を受け、自民党県連は今月田畑議員を県連の了解なしに次の衆院選候補となる支部長に選任しないよう党本部に要請し、認められました。
事実上の非公認です。
さらに来年の選挙への影響などを考慮して市内に掲示されている田畑議員のポスターは撤去されることが決まりました。
政治への信頼を取り戻せるか
政治とカネの問題で、市民の政治不信が深まったこの一年。
田畑議員
1月「不記載であるということは、全く認識をしていなかったところであります」
7月「私の人生をかけ、あらゆる手段を通じて、信頼回復に取り組んでまいります」
11月「極めて軽率であったと反省をしております」
政治家の釈明や謝罪は、いつまで繰り返されるのか。
政治への信頼を取り戻すのは、容易ではありません。