【記者解説】奥田交番襲撃事件から7年 裁判の現状は
上野キャスター)スタジオにはこの裁判を取材している大平記者です。
今年6月で事件から7年となりますが、今も裁判が複数、進んでいますよね。
大平記者)この事件をめぐっては、今回の民事裁判と刑事裁判の2つがあります。
刑事裁判は、強盗殺人の罪で起訴されている島津慧大被告の罪を問うものです。
一方、民事裁判は殺害された中村さんの妻が県警の初動対応に落ち度があったとして県警を管轄する県を相手取り、さらに夫を殺害されたことの慰謝料として島津被告を相手取り、それぞれ損害賠償を求めたものです。
上野)民事裁判では島津被告への判決は出ていますね。
大平)はい、2022年に富山地裁は、島津被告に対し2602万円を支払うよう命じました。
一方、県は争う姿勢を示していて、きょう事件当時に通信指令を担当していた警察官の証人尋問が行われました。
原告側は、事件発生の通報を受けた県警の通信指令課や現場に駆け付けた警察官が、周囲に危険な状況だと知らせるなど速やかな対応をとっていれば、中村さんは命を奪われずに済んだとしています。
中村さんの妻は同じような悲惨な事件が二度と起きてほしくないという思いで、警察の初動のあり方を問いただしています。
一審の無期判決 高裁が差し戻し
上野)一方、島津被告の罪を問う刑事裁判はどうなっていますか。
大平)はい、島津被告は強盗殺人の罪に問われ、検察は死刑を求刑しましたが、事件から3年後の2021年3月、一審の富山地裁は強盗殺人罪の成立を認めず無期懲役を言い渡しました。
検察側と島津被告はそれぞれ控訴しました。
そして二審の名古屋高裁金沢支部は「一審判決に事実誤認がある」として審理を富山地裁に差し戻すよう命じました。
去年の3月、最高裁もこの判断を支持したため、もう一度、富山地裁で一審の裁判員裁判がやり直されることが決まっています。
黙秘続ける島津被告
上野)事件から間もなく7年ですが裁判は長期化していますね。
大平)これまでの刑事裁判で島津被告は一審では黙秘を続け、控訴審には出廷していません。
遺族が望んでいるのは島津被告が自ら事件について語ること、そして中村さんがなぜ殺害されてしまったのか、その経緯を明らかにすることですが、やり直しの刑事裁判はいつ始まるかまだ決まっていません。