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藤井貴彦キャスターが再び見た 被災地氷見の今 応援かてに営業を続ける料理店

2024年6月13日 21:03
藤井貴彦キャスターが再び見た 被災地氷見の今 応援かてに営業を続ける料理店
1月1日の能登半島地震から5か月あまりが経つなか、県内の被災地の復興は進んでいるのか。

「news zero」の藤井貴彦キャスターとともに取材した被災地の今をシリーズでお伝えしています。3日目の13日は、客などからの応援を糧に営業を続ける料理店を取材しました。

上野「私が何度かお邪魔させていただいている『しげはま』というお店に行きましょう」
藤井「雰囲気ありますね」

氷見市の市街地にある料理店「割烹しげはま」です。
1月1日の地震で、店舗は激しく揺れ、増築した厨房の建物との間にすき間ができるなど大きな被害を受けました。
店主の一宮さんは当日、家族と近くの高台へ避難しました。

割烹しげはま 一宮陸雄店主
「店の扉も完全に外れてしまって、閉まらない状況だったんですよ。泥棒も怖かったもので、電気・ラジオ付けたままにして、嫁さんに店の予約帳だけ持ってすぐ山に逃げた」

藤井「予約帳を持って逃げたのはどうしてですか?」
一宮さん「実は1月4日から営業(予定だったの)で、8日までお昼も夜も全部お客様の予約で満席だったんですよ。そのお客様にそういう状況なもので営業できませんという報告をした」
藤井「そこまでしっかりと…プロフェッショナルのお仕事ですね」
一宮さん「(お客様が)被災地に来て自身も被災してもらっても困りますから」
藤井「(電話口でお客は)なんとおっしゃってました?」
一宮さん「一番は『大丈夫ですか』というのと、『必ずまた伺わせていただきます』という言葉をたくさんいただきました」

地震後続いていた断水が解消し、地震から1週間余りで営業を再開しました。建物の間にできたすき間も雨風をしのげるよう補修しましたが、液状化現象による被害も深刻でした。

一宮さん「浄化槽がまだ下に15センチほど埋まってたんですよ。それがこれだけぼこっと浮いてしまった」

店の裏手にある浄化槽が地中から浮き上がったため、下水が流れなくなってしまったのです。
復旧工事に入るため、一宮さんは一度再開した店を再び休業することを決めました。

一宮さん「その小上がりの下も破って、配管(を通し)て、2~3週間はまともな営業できない感じかな」

しばらく店を休む前に…、自慢の「しげはま定食」を用意してもらいました。

上野「藤井さん、どうですか?」
藤井「いやぁ、こんな豪華なものを。これは何ですか?」
一宮さん「かぶす汁といいまして、(料理に)使った魚のあらとかを入れてお味噌汁にするんですよ。これはメバルの仲間のヤナギバチメ(の塩焼き)。真ん中にあるのがガンドブリ(の刺身)。ブリの稚魚です」
藤井「持った瞬間にプリッとしてます。いただきます。…魚食べてザクザクって音します?」
上野「この歯ごたえというか」
藤井「外連味のない純粋感がある、でも脂はしっかりとのっている。なんか愛おしく思えてきた。稚魚だから。いやぁおいしい!」
一宮さん「夏場の寒ブリのシーズンじゃない時期でも『ブリ食べたい』というお客さんいるんですよ。でもどうしてもブリはないものですから『これはブリの稚魚です』と提供して『大きくなると帰ってきますので、冬場またお待ちしてます』ということで」
藤井「なるほど!本場の時期への招待状!」
上野「私たちももう一回(氷見に)帰ってこなきゃなという思いになるってことですね」
一宮さん「お客様が『おいしかったです。また寄らせていただきます』と言ってくださるのが一番うれしい言葉ですね」

一宮さんが大切にしているものがあります。店に訪れた客からのメッセージが書き込まれたノートです。

N藤井「1月9日には(店を)やっていた?」
一宮さん「ちょうどこの日、9日から営業を始めたんですよ。その日は(今までの予約を)全部断ってましたので、店開いたんですけどお客さん誰も来なかったんですよ。その時にお2人で入ってきたお客様が、能登の復興(ボランティア)に行っている方で、能登の方泊まるところないものですから、氷見に泊まって能登の復興支援に行かれるお客様が食事された。『震災で大変な中とても美味しい鰤料理出して頂き大満足でした。また氷見寒ぶり食べに伺います』と書いてあります」

ノートには、海外から訪れた客のメッセージも。日本語で「頑張って」と書き添えられていました。

一宮さん「やっぱりそういう言葉を聞くと、どうしても店を続けていかなくちゃいけないかなという気持ちになりますね。まだ復興の途中、序盤かもしれませんけれども、少しずつ前には氷見全体も進んできてますので、もしよろしかったらまたこうして氷見の方に足を運んで、それから能登の方へ。氷見は能登の入り口ですから、能登の方にもたくさんの方に来てもらいたいなと思います」
藤井「能登半島全体で復興していきたいですね」
一宮さん「そうですね」

氷見と能登は、県こそ違えど、一体なんだなと感じました。一方で、割烹しげはまのあるこの地区は、空き家が増えているという現状があります。
一宮さんによると、地震をきっかけに街を離れた世帯もいて、町内会の活動も見直しを迫られているそうです。
そんな中、氷見の幸を食べてほしいと、お店を続ける一宮さん。
私も「ガンドブリ」の「招待状」を受け取りました。また定食を食べに伺います。

14日はシリーズの最終回。藤井キャスターに、被災地の取材を続ける理由や災害報道のあり方などを対談形式で聞きました。
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