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専門外業務・上司が叱責 海外赴任先で過労自殺 富山県出身男性の遺族は…

2024年6月28日 19:47
専門外業務・上司が叱責 海外赴任先で過労自殺 富山県出身男性の遺族は…

大手機械メーカーに勤務していた富山県出身の男性が、海外の赴任先で自殺したのは、専門外の業務や上司からの叱責などにより精神障害を発症したことが原因として、労働基準監督署は2024年3月、労災と認定しました。男性の母親は会社側に謝罪を求めていて、二度と同じ悲劇を繰り返してほしくないと訴えています。

優しい笑みを浮かべるのは、上田優貴さん。3年前、赴任先のタイで精神的に追い詰められ、27歳の若さでこの世を去りました。

優貴さんの母親
「GWに元気で帰ってくるって思っていたのに、冷たい体で帰ってきて、受け止めきれないまま葬儀が終わってしまった…。本人も悲しかったと思うし家族としても悔しいです」

県内で生まれ育ち、大学院卒業後に大阪に本社がある大手機械メーカー、日立造船に入社した優貴さん。
海外のごみ焼却発電施設の立ち上げに携わるため、入社から3年近くが経った2021年1月、タイに渡りました。

しかし、新型コロナの影響で現地での研修もなく、優貴さんに割り振られたのは「施設の試運転」という専門外の業務でした。慣れない仕事にミスも続き、上司から叱責される毎日。亡くなる前の1か月の時間外労働はおよそ150時間にも及び、精神的に追いつめられた優貴さん。30メートルの高さから転落し、亡くなりました。

優貴さんの母親
「辞めて帰ってきなさいと強く言えばよかったとか、何十年たってもこうすればよかったというのは消えないと私自身も思っていますので、命が帰ってこないというのが一番辛いですね、家族としては」

生前に優貴さんが残した日記には、必死に生きようとする気持ちが綴られていました。

「4月16日。悪夢を見ずに目が覚めた」
「4月18日。特に何もしていないが、死にたい気持ちにはならなかった」
「4月25日。日曜の休日出勤をクリアし、生き延びることができた」

しかし2023年、会社側が第三者委員会の報告書で示したのは「優貴さんの死亡の理由が自殺か事故かわからない」とするものでした。

優貴さんの母親
「親としては、『どうして』ですよね。息子1人亡くなったとしても、いなかったことになるのかなって…。息子は最後までやり遂げようとして、必死に毎日1日1日頑張ってきたというのが、日記でもわかったので…」

優貴さんの母親が弁護士と調査を進めると、現場の監視カメラの映像からは優貴さんが自殺したと認められたといいます。

労基署は、2024年3月、「強い心理的負荷があり、精神疾患を発症して自殺した」として、労災を認定しました。優貴さんの母親は「まだ謝罪の言葉もない」として、会社側に事実の認定と謝罪を求めています。

優貴さんの母親
「夏は冷たいのを、冬は温かいのをいれています。名前の通り優しい、天然系で。いてくれたら面白いことも言うし安心できる、そんな子だったのかなって…。富山の企業も従業員を海外出向させている企業も多いと思うので、1回ちょっと立ち止まって、働き方を見直していただければと思う」

二度と戻らない、息子の命。優貴さんの母は、同じような悲劇が繰り返されないよう願っています。

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