富山湾の異変…ベニズワイガニ・シロエビが不漁 続く地震の影響
富山湾で、能登半島地震の影響が長引いています。
先月、漁が解禁されたベニズワイガニや、まもなく今シーズンの漁が終わるシロエビは記録的な不漁が今も続いています。岡川記者がお伝えします。
先月10日。
射水市新湊地域の漁師・塩谷久雄さん(63)は、今シーズン最初の漁に出ました。
狙うのはベニズワイガニ。
水深800メートル以上の海底にかごを仕掛け、数日後に引き揚げます。
この日、カニは1つのかごにわずか4~5匹しか入っていませんでした。
塩谷久雄さん「5月のカニ(漁の)終わり時と比べたら、だいぶん悪い。少ない」
合わせてもおよそ240匹、例年の初日の半分以下でした。
能登半島地震以降、ベニズワイガニの漁獲量は低迷したままです。
今シーズンの漁が始まった先月も、平年の6割ほどにとどまっています。
中でも深刻なのが、塩谷さんが所属する新湊漁協です。
地震で多くの漁師が、海に仕掛けていたカニかごを失いました。
塩谷さんの損失は、かごだけで500万円から600万円にのぼるといいます。
その後、漁を再開しても水揚げは元に戻っていません。
塩谷久雄さん「地震があってカニかごはなくなってしまっとし、カニは入らんし。踏んだり蹴ったり」
これは、地震前の富山湾の海底を撮影した映像。
数匹のカニの姿が確認できますが…
地震後の映像ではカニの姿はほとんどみられませんでした。
そして、画面を横切るように現れた段差。
地震によって海底で起きた地滑りの跡とみられます。県水産研究所は、地滑りによってカニが土砂に埋まったり逃げたりした影響が長引いているとみています。
さらに気になる調査結果も出ています。
県水産研究所 三箇真弘研究員「こちらがベニズワイガニの稚ガニになります」
カニの子ども「稚ガニ」の採集調査です。
大きさやオス・メスの数を調べたところ、過去10年間の平均と比べ半分以下に減っていることが新たにわかりました。
特に体長が小さくこれから成長するカニが減っていることから、今後ますます漁獲量が減るおそれがあります。
県水産研究所 三箇真弘研究員「漁獲対象サイズとなる甲幅9センチ超えとなるまでに、約9年以上かかるとされておりますので、影響は長期化する可能性があるのかなと思います」
一方、記録的な不漁はシロエビでも続いています。
シロエビ漁師 野口和宏さん(46)「シロエビとってる者にしてみたら、こんなんじゃ話にならないですね」
4月の漁解禁から不漁が続き、その後、一時的に回復しましたが、先月の県内の漁獲量は29トンで例年の3割ほどに落ち込んでいます。
県水産研究所 藤島陽平研究員「シロエビは浮遊してる生き物なので、例えば土砂が巻き上がってシロエビの幼生に影響したとか、そういった可能性が考えられてくるのかなと思います」
さらに、その土砂の成分を詳しく調べると。
県水産研究所 藤島陽平研究員「海底地滑りで表層にあった堆積物が流出して、古い層の硫化物が高いといわれる層の堆積物が露出した」
シロエビ漁が行われている周辺の海域で、硫化物が検出され、生き物がすむ環境として維持することが望ましいとされる基準を上回っていたことがわかったのです。
その結果、新湊沖にすむシロエビの子どもは7年前と比べて3分の1に減少。
富山市岩瀬沖では、去年と比べてわずか4パーセントにまで減っていました。
富山が全国に誇る海の幸への影響は、いつまで続くのか。
漁業者たちは漁場を変えるなどして試行錯誤を続けています。
先月、漁が解禁されたベニズワイガニや、まもなく今シーズンの漁が終わるシロエビは記録的な不漁が今も続いています。岡川記者がお伝えします。
先月10日。
射水市新湊地域の漁師・塩谷久雄さん(63)は、今シーズン最初の漁に出ました。
狙うのはベニズワイガニ。
水深800メートル以上の海底にかごを仕掛け、数日後に引き揚げます。
この日、カニは1つのかごにわずか4~5匹しか入っていませんでした。
塩谷久雄さん「5月のカニ(漁の)終わり時と比べたら、だいぶん悪い。少ない」
合わせてもおよそ240匹、例年の初日の半分以下でした。
能登半島地震以降、ベニズワイガニの漁獲量は低迷したままです。
今シーズンの漁が始まった先月も、平年の6割ほどにとどまっています。
中でも深刻なのが、塩谷さんが所属する新湊漁協です。
地震で多くの漁師が、海に仕掛けていたカニかごを失いました。
塩谷さんの損失は、かごだけで500万円から600万円にのぼるといいます。
その後、漁を再開しても水揚げは元に戻っていません。
塩谷久雄さん「地震があってカニかごはなくなってしまっとし、カニは入らんし。踏んだり蹴ったり」
これは、地震前の富山湾の海底を撮影した映像。
数匹のカニの姿が確認できますが…
地震後の映像ではカニの姿はほとんどみられませんでした。
そして、画面を横切るように現れた段差。
地震によって海底で起きた地滑りの跡とみられます。県水産研究所は、地滑りによってカニが土砂に埋まったり逃げたりした影響が長引いているとみています。
さらに気になる調査結果も出ています。
県水産研究所 三箇真弘研究員「こちらがベニズワイガニの稚ガニになります」
カニの子ども「稚ガニ」の採集調査です。
大きさやオス・メスの数を調べたところ、過去10年間の平均と比べ半分以下に減っていることが新たにわかりました。
特に体長が小さくこれから成長するカニが減っていることから、今後ますます漁獲量が減るおそれがあります。
県水産研究所 三箇真弘研究員「漁獲対象サイズとなる甲幅9センチ超えとなるまでに、約9年以上かかるとされておりますので、影響は長期化する可能性があるのかなと思います」
一方、記録的な不漁はシロエビでも続いています。
シロエビ漁師 野口和宏さん(46)「シロエビとってる者にしてみたら、こんなんじゃ話にならないですね」
4月の漁解禁から不漁が続き、その後、一時的に回復しましたが、先月の県内の漁獲量は29トンで例年の3割ほどに落ち込んでいます。
県水産研究所 藤島陽平研究員「シロエビは浮遊してる生き物なので、例えば土砂が巻き上がってシロエビの幼生に影響したとか、そういった可能性が考えられてくるのかなと思います」
さらに、その土砂の成分を詳しく調べると。
県水産研究所 藤島陽平研究員「海底地滑りで表層にあった堆積物が流出して、古い層の硫化物が高いといわれる層の堆積物が露出した」
シロエビ漁が行われている周辺の海域で、硫化物が検出され、生き物がすむ環境として維持することが望ましいとされる基準を上回っていたことがわかったのです。
その結果、新湊沖にすむシロエビの子どもは7年前と比べて3分の1に減少。
富山市岩瀬沖では、去年と比べてわずか4パーセントにまで減っていました。
富山が全国に誇る海の幸への影響は、いつまで続くのか。
漁業者たちは漁場を変えるなどして試行錯誤を続けています。
最終更新日:2024年10月23日 19:45