柳井・周南地域高校再編計画~住民説明会終わる
県東部の5つの県立高校を2校に統合する再編整備計画についてです。今月17日から5カ所で説明会が開かれ、きのう(29日)の上関ですべての日程が終了しました。各地ではどのような反応があったのか?まとめます。
まずは計画を振り返ります。
県教育委員会はいま、少子化などに対応するため県立高校の再編整備を進めています。
去年、策定された計画には、来年度、宇部西高校の募集を停止することや再来年度、厚狭高校と田部高校を統合することなどが盛り込まれていましたが…、
先月、2026年度に実施予定として新たに柳井、柳井商工、熊毛南、熊毛北、田布施農工の5校を2つに統合する「素案」が示されました。
2校の所在地は、現在の柳井高校と田布施農工高校とし、柳井高校には、普通科、商業分野の高校を田布施農工には工業、農業、家庭科分野の高校を設置するとしています。
なぜ再編整備が進められているのか?その背景には、歯止めがかからない「少子化」があります。こちらをご覧ください。
これは、今後15年間の柳井・周南地域の中学校を卒業すると見まれる人数を表したグラフです。
柳井地域ではおよそ250人、周南地域ではおよそ570人、今より減少します。
県教委は、高校教育の質を確保するためには「一定の学校規模が必要」などとし、今回の素案を作成したとしています。今回の説明会は、この素案について行われてきましたが、高校がなくなる町の住民からは懸念の声が聞かれました。
今回の計画により、高校がなくなるのは熊毛南高校のある平生町と熊毛北高校のある熊毛地区です。
(平生)
「高校がなくなることはその町にとって将来を憂うべき問題ではないか」
(熊毛)
「コミュニティー、自治会、自主防災、全て小学校、保育園、幼稚園まで含めますそういう活動をしていますそれが頭がなくなるんですよ冗談じゃない」
平生町の説明会には中学3年生の姿もありました。
熊毛南高校への進学を希望しているといいますが、素案通りに実施されれば、高校3年生の時に、1年生は入って来なくなることになります。
(中学生)
「最初から熊毛南高校に行こうと思っていたんですけど私達が最高学年になって後輩ができたときに私たちがいなくなったら一学年だけになって大丈夫かなと心配はありました」「(友達で)なくなるからここに行こうと思ってたけどもうちょっと遠くなるところに行こうという人も居ます」
一方で、地区内に高校が残る柳井市、田布施町、そして、もともと町内に高校はない上関町でも計画自体に対する不満の声が聞かれました。
(上関町)
「子どもを育てる親にとって学校と病院がなくなっていくと育てられなくなるそして出て行かなければならなくなる地域は寂れてしまう」
(田布施町)
「小規模校が好きな子もいるわけです大きい所ではなじまないというお子さんもいらしゃって」「色んな意味で考え直していただきたい」
(柳井市)
「生徒が少なくなるだから学校を少なくするこういった発想なんですよそこに夢も希望もない」
いずれの会場でも県教委は、一定の学校規模が教育の質の確保につながると強調しましたが出席者からは「答えになっていない」といった声があがっていました。
そしてもう一つ…ほとんどの会場で聞かれたのがなぜ素案に、周防大島高校が含まれないのかといった疑問の声です。
柳井地域の中で今回、周防大島高校だけが統合されない形となっています。
周防大島高校については、今回の素案公表と同じようなタイミングで「県立大学」による付属化の動きが表面化…、違和感や不信感をいだく人は少なくありませんでした。
取材をするなかでこれから進学先を決める中学生の子を持つ保護者からは募集定員や部活動などもっと具体的な中身を知りたかったという切実な声も聞かれましたが県教委は素案の段階であるため具体的にはまだ回答ができないと答えています。
今回の計画、実施は2026年度と3年後に迫っています。
子どもたちのことを第1に考えた議論…そして丁寧な説明が求められます。
なお説明会は終わりましたが、来月9日までパブリックコメントの募集は続いていてます。詳しくは県のホームページをご覧ください。