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ガンと闘いながら貴重な山野草ベニバナヤマシャクヤクを守る夫婦…花を支え花に支えられ~山口・周南~

2023年10月23日 9:54
ガンと闘いながら貴重な山野草ベニバナヤマシャクヤクを守る夫婦…花を支え花に支えられ~山口・周南~

 周南市鹿野地区で、ガンと闘いながら貴重な山野草=ベニバナヤマシャクヤクを増やし続けている夫婦がいます。花を守りながら病気と夫婦で、そして家族で闘う姿の記録です。

 貞弘正さん(79)。正さんは多発性骨髄腫=血液がんの一種です。正さんは、当時の国鉄の職員で、1999年55歳のとき、早期退社し、造園業を始めようした矢先、がんを発病しました。2003年4月のことでした。ベニバナヤマシャクヤクの種を譲り受け、自宅の裏山にまいたのが、その年の9月のことでした。ベニバナヤマシャクヤクは、絶滅のおそれがある山野草で、秋に鮮やかな種を実らせます。

 絶滅の恐れがあるこの花を咲かせることが、生きがいとなりました。いまでは1000株を数えるようになっています。

 正さんはいま、1ヶ月間抗がん剤治療を続け、治療が終わると3日間だけ自宅に帰ることができます。

 しかし激しい腰の痛みのせいで、歩くことが難しくなり、ことし5月を最後にベニバナヤマシャクヤクの山に登ることができなくなりました。

 いまベニバナヤマシャクヤクを管理するのは、妻の満枝さん…そして中学生になった孫の悠羽くん(13)も手伝ってくれます。

 ことし夏の大雨では、ベニバナヤマシャクヤクが密生しているところに、大きな木が倒れてしまいました。正さんはこの時入院していました。満枝さんひとりではどうにもならず長男・康正さん、次男・直樹さんが木を切断し、撤去しました。

(康正さん)
「花が咲くのを楽しみにしているし今入院しているけれど退院したときにはまた山に来て癒やしになればいいなと思っている」

 10月7日、山に入る満枝さんとそして中学生になった悠羽くんの姿がありました。ベニバナヤマシャクヤクの株をさらに増やすため、その種を集める作業です。

(悠羽くん)
「おじいちゃんは僕が生まれる前から、こんなことをしたんだなという思いを重ねて取りました」「一刻も早く元気になって会いたいです」

 悠羽くんは、おじいちゃん=正さんと一緒にこの種を山に撒くつもりです。山に登ることができなくなった正さん、しかし家族でベニバナヤマシャクヤクの花を守り続けています。

 いまは入院中の正さん、抗がん剤治療が続く中、正さんは、リハビリの日々を送っています。

 山に登り、また花々と会うために…。花を支え、花に支えられ、家族に支えられ、命ある限り生きることを決して諦めません。
                          【貞弘さんは、環境保護のため、この山の公開を控えています】

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