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「世界から呼び込みたい」 北陸新幹線敦賀延伸まもなく1年 加賀温泉郷の“狙い”とは

2025年3月13日 18:35
「世界から呼び込みたい」 北陸新幹線敦賀延伸まもなく1年 加賀温泉郷の“狙い”とは
北陸新幹線の敦賀延伸からまもなく1年。東京からの直通便が停まるようになり、南加賀の加賀温泉郷ではこのチャンスを逃すまいと奔走する関係者がいます。観光客誘致の現状と課題とは…

ステージで披露される軽やかなステップ。それを満面の笑みで見つめるのは石川県加賀市の宮元陸市長です。

2月、東京で開かれた会合。一体、何のための会合なのかというと…

加賀市・宮元 陸 市長:
「メインは観光の紹介でありますが、もっと頑張れという激励、叱咤激励をいただければ非常にありがたいと」

観光事業者らに加賀温泉郷をPRするためでした。

今から1年前。北陸新幹線の敦賀延伸に伴い東京からの直通便が停車するようになった加賀温泉駅。100年に1度とも言われた絶好のチャンスを生かそうと…

「大事なのはこれからなんです。すばらしい街にしていこうじゃありませんか。加賀をもっといい街にするぞ!」

開業を盛り上げるPR動画を作ったり、加賀温泉駅に交流施設を整備したりと市を挙げて観光誘客に力を入れてきました。

旅行会社担当者:
「我々の数字もいいですよ。やっぱり新幹線効果があって」
「伸び率でいうと関東が大きいです。新幹線効果が大きいですから」
「若干、関西からは乗り継ぎの問題があるので、ちょっと苦戦しているかなというのはありますけども、関東方面からはかなり伸びてると思います」

加賀市への入り込み客数で見ると、敦賀での乗り換えがある関西方面は少々伸び悩んではいるようですが、関東方面からはかなり順調な様子。その一方で加賀温泉郷にはいま、こんな課題が…

加賀市・宮元 陸 市長:
「インバウンドが…それがですね。やっぱり金沢多いんですが、我々のところはまだまだ全体の2~3パーセント程度で、やっぱり伸びしろが一番大きいところでもありますから、そこをどうしていくかということが、我々にとっても非常に大きな狙いどころ」

新幹線の開業後は、コロナ禍前には届かないものの、去年は約104万人の観光客が訪れた加賀市。しかし、このうち外国人旅行客、いわゆるインバウンドは全体の3パーセントあまりに留まっています。

創業から130年を超える片山津温泉の老舗旅館「湖畔の宿 森本」。

「白山が… 白山がこう見えるんですよね」

6代目の森本康敬さん。

「あとは夏は花火がこっちから花火が上がるので、それも喜ばれるし」

1日に7度色が変わるという柴山潟を望む絶景が宿の自慢です。去年の地震では復旧に時間がかかり、夏前からようやく本格的に営業を再開。さまざまなキャンペーンもあり、客足が落ち込むことはありませんでしたが、やはりインバウンドについては…

湖畔の宿 森本6代目・森本 康敬 社長:
「日本には何千万人とインバウンドのお客さんが来てるのに、金沢からも30分以内、京都行くのも今1時間半ぐらいで行くじゃないですか。そんなような中で、何で2パーセントなのみたいな」

金沢はことし、海外の大手旅行メディアから行くべき旅行先に選ばれるほど、いまや大注目の観光スポットに。すぐそこまで来ているインバウンドの目を、いかにして加賀温泉郷に向けさせるのか…

湖畔の宿 森本6代目・森本 康敬 社長:
「宿泊地として加賀温泉を選んでいただけるっていう、そういう導線、導線づくりはすごく大切だけど、それももちろんやりながらも本来、目的地としてこの加賀温泉に来てもらえるような、そういうことを発信するということが大切なのかなと思う」

2月。

「どうもきょうは、ありがとうございます」

宮元市長や森本さんらの姿は東京の大手旅行会社に… この日行われたのは毎年恒例のトップセールスです。お願いしたいのは…

加賀市・宮元 陸 市長:
「インバウンドの部分がまだ弱い部分もかなりあって、まだ2~3パーセントという入り込み客数しか入っていないということから、いろいろなアドバイスをいただければありがたい」

やはりインバウンド対策。

湖畔の宿 森本6代目・森本 康敬 社長:
「ライドシェアのサービス開始です。将来を見据えてインバウンドは少ないですが、お客さんが来た時にどんどん利用していただけるようにスムーズに運営できるように、着々と増えていっているところです」

旅行会社担当者:
「露出をする努力をしないと、なかなかやっぱりそのエリアを認知していただいたりとか、そこに行こうというのが意欲が湧かないというのは、現地を見てもすごく思っています」

この日は朝から8社をまわるハードスケジュール。すると、この旅行会社側からは、こんな話が…

旅行会社担当者:
「圧倒的に、実はタイから人が来ているのがいま多くてですね、そこを我々も戦略的に狙っていきたいというのがあってですね」

いまターゲットになるのが“微笑みの国”タイ。

日本を訪れる旅行者は、年間114万人あまりと香港に次いで6番目に多く、魅力的な市場のひとつですが、これから加賀市にこんな驚きの秘策を提案するのだといいます。それが…

日本旅行北陸営業統括部 渡邉義男 部長:
「タイのドラマです。タイのドラマを日本で撮るんですよ。ボーイズラブ系です。めちゃめちゃ流行ってます」

その提案とは、タイ国内で配信されるドラマの撮影を加賀市に誘致するというもの。タイのドラマの中で効果的に露出させようというわけです。実はこのタイのドラマ誘致、すでに日本各地で形になっていて、ことし5月には島根を舞台としたドラマがタイで配信される予定です。

日本旅行北陸営業統括部 渡邉義男 部長:
「日本ではあまり放映されないですけど、タイの人はそれを見てから日本に来たがる。加賀温泉郷としてコンテンツ出したいものもあると思うんですよ。そういうのも含めてつないで現地側の方に提案していくので、まずは素案の段階です」

イケメン俳優が熱演したロケ地をめぐるパッケージツアーを販売するために…

ひょっとしたら将来、加賀温泉郷がタイのドラマの聖地になっている…かもしれません。

ここにしかない唯一無二の魅力をどう作っていくのか…

湖畔の宿 森本6代目・森本 康敬 社長:
「森本なら森本の魅力でお客さんに選んで来ていただきたいというのも、もちろんそれが基本なんで、今が頑張りどき」

そして加賀温泉郷にもっと多くの観光客を…

加賀市・宮元 陸 市長:
「全国から、世界から呼び込みたい。反転攻勢、これからどんどん攻めていきたいと、そう思います」

その次のステップはどんな一歩となるのか… それぞれの挑戦は続きます。

最終更新日:2025年3月13日 18:35
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