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災害廃材生かし…地震の“記憶”を案内板に “輪島塗地球儀”に“寿司レーン”も 万博支える石川の技

2025年2月20日 19:04
災害廃材生かし…地震の“記憶”を案内板に “輪島塗地球儀”に“寿司レーン”も 万博支える石川の技
ことし4月に開幕する大阪・関西万博。多くのパビリオンが会場を彩りますが、実は万博と石川県、いろんな部分でつながりがあるようです。一体、どんなつながりなんでしょうか?

石川県輪島漆芸美術館・細川 貴久美 学芸課長:
「こちらが輪島塗の大型地球儀、『夜の地球 Earth at Night』という作品になります」

輪島市内の美術館に展示されている直径1メートルの地球儀。蒔絵や沈金で宇宙に浮かぶ幻想的な地球の姿を表現しています。

石川県輪島漆芸美術館・細川 貴久美 学芸課長:
「木地、塗りから模様付け、いわゆる加飾ですけれども、分担をして力を合わせて作られたものということになります」

5年の歳月をかけ、37人の技術者の技を集結したこちらの地球儀。実は、この春からこんなところで展示されるんです。

それは、大阪の夢洲で4月に開幕する大阪・関西万博。現在、様々なパビリオンで準備が進んでいますが、被災地復興の象徴として展示されることになりました。

石川県輪島漆芸美術館・細川 貴久美 学芸課長:
「いま現在も最高の技を伝えていこうとしている職人さんたちがたくさんいらっしゃる、そういうことを会場の方で多くの方々に感じていただけたらいいなと思っています」

こうした中、石川県内では裏方として万博に携わる企業も…

市川 栞 キャスター:
「回転すし店には欠かせないこちらのレーン。このレーンの技術が今回の万博に導入されることになりました」

全国の回転すし店のレーンの7割を製造している石野製作所。

万博に出店する回転すし大手「スシロー」の、森をイメージした店舗に自社のレーンが導入されることになりました。

注文を受けてから客席までの距離や道のりなどを計算して運ぶ、独自の技術が使われているということです。

石野グループ北日本カコ―・石野 夏紀 さん:
「日本の食文化を発信するだけでなく、あまり目立たないかもしれませんけども、店舗の機械を当社で作っているという細かいところの技術とかを世界の方に見ていただけたらいいかなと思います」

このほか、万博の会場では、「循環」をテーマとした展示でもこちらのコンベアが使われるということです。

一方、万博とのつながりは、江戸時代から続くこちらの企業でも。金沢市の金森合金では砂でできた型を使った伝統的な精錬技術「砂型鋳造」で、会場の案内板を作成します。その素材というのが…

金森合金・高下 裕子 さん:
「うちの工場だと地域で出てくるいろんな廃材を溶かしているんですけど、今回の素材は災害廃材を溶かして精錬したもの」

能登半島地震で生まれた災害廃材。公費解体が行われた輪島朝市や、被災地の酒蔵などでおよそ360キロの災害廃材を回収し、鋳造しました。

通常は表面を滑らかに整えますが、今回の万博用の作品は、アルミを流し込んだ痕跡をあえて残したまま。世界に伝えたいのは、能登の復興です。

金森合金・高下 裕子 さん:
「能登で出てきた素材が持っている記憶とか思いとか、そういうものをそのままの状態で残すというところが、長らく作ってきている砂型鋳造の本来の目的というか、残したいものを残す、その状態で残すというところに今回すごく焦点を当てた」

被災地の記憶を風化させないために… その高い技術で世界に向けて発信します。

最終更新日:2025年2月20日 19:04
テレビ金沢のニュース