被災地の日常を撮影し続ける 石川・珠洲市のカメラマンが守りたかったものとは
震災の影響で多くの日常が奪われた町で、写真館を続けようとしている男性がいます。
男性が守りたかったものとは。
珠洲市飯田町には、町に一つだけ写真館があります。
カメラマンの坂健生さん(66)
いつもであれば1月は市で開催される「二十歳のつどい」に合わせ晴れ姿の撮影が忙しくなる時期です。
1月1日、その準備をしている最中、突然の揺れが襲いました。
■カメラマン・坂健生さん
「こうなっていてしゃがみ込むしかなくて全く動けなくてここにいました」
震度6強の揺れに襲われた写真館。「二十歳のつどい」も中止となり仕事は無くなりました。
■カメラマン・坂健生さん
「こっちからあっち行こうと思ったら行けなくて歩いても行けない」
生まれ育った町のあまりに変わり果てた風景。
奪われた日常。住民の半数以上が65歳以上となるこの町で、どう、街を再生していくのか、どう、暮らしを立て直していくのか。
坂さんは街を歩き、被災した今の「日常」を撮影しています。写真は、地元で生きていきたいと思っている人たちのためにSNSで発信しています。
■カメラマン・坂健生さん
「うちも電気来た何とか生きとる。ただ子どもさん2人もいるから大変やったねお父さん頑張ったね」
大正時代から3代にわたって受け継いできた写真館。
1年の始まりを祝うはずだったあの日。
■カメラマン・坂健生さん
「つぶれた横のお寺が見える。それがどんどん次々潰れていくので次はうちだと思って生きた心地はしなかった」
激しい揺れの中、坂さんにはどうしても守りたいものがありました。
■カメラマン・坂健生さん
「今までの何十年の大事なデータが入ったパソコンがあって、そこに見える、そこに上から蛍光灯のがれきが降り注いでいるのを見ながらなんとかあれだけは確保しなければならないと思って」
地域の人たちの思い出が詰まった写真データです。
地震で大切なアルバムや写真を失った被災者も多い中、地元に残ることを決意した坂さん。これからもここで、写真を撮影し続けます。