復旧への「脚」がかりに 埼玉から石川に移住したタクシー運転手女性の思い
地震で大きな被害を受けながらも地元のために働き続ける人がいます。生活に欠かせないタクシー会社を取材しました。
珠洲市で長年、営業を続けてきたタクシー会社。
「ガスの給油ができない状態なのでとりあえず1台で病院へ行く方とか避難所から。 それだけですね」
窓ガラスのほか、屋根の上のランプも壊れてしまいました。
元日の地震で敷地に止めてあったタクシーが使用できない状態に…無事だったのは、わずか1台です。
スズ交通株式会社乗務員 田中昇さん「車を持っていない高齢者の人が多いので、最悪、病院に行く人だけでも何とか送迎だけでもできれば」
6人の乗務員が交代しながら運転。地震が起きてから無休で営業を続けています。そのうちの1人、珠洲市出身の田中昇さん。自らも地震で自宅を失いました。
■スズ交通株式会社乗務員 田中昇さん
「本当に、悲しいですね。やっぱり生まれてからずっといるんで涙あまり離れたくはない」
過酷な状況でも、乗客に“恩返し”をと、この地で働き続けることを決めました。
一方、被災地の力になろうと地震が起きてすぐに移住してきた人も。
■鳳南タクシー安澤美佳さん
「ここは通れない道だったなと思いながら、最初は通ったんですけど」
Q「来てどのくらい?」)「3週間です。3日から入ってるんですけど」
輪島市でタクシー運転手を務める安澤美佳さん。制服も自前です。
「働く人の手が足りないはずだと思いまして24時間、時間を選ばれず働ける環境が今は私にはある」
地震後、埼玉県から自力で被災地へ向かいました。
研修などを経て、市内のタクシー会社に就職。住んでいる場所はというと…
いまは事務所横の収納部屋での生活です。
■鳳南タクシー安澤美佳さん
「もう住民票もこちらに移しているのでしばらく…もう必要ないよと言われるまで はここにいようと思っている」
介護士や保育士の資格も持っているという安澤さん。タクシーを運転しながら、「現場の手薄なところを手伝いたい」ということです。
復旧への“脚”がかりとなるべくきょうもハンドルを握ります。