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青春真っ盛り!新入生は68歳の元船長“母校に恩返し”のため50年ぶりに制服を着て鹿児島水産高校に入学

2024年6月29日 15:55
青春真っ盛り!新入生は68歳の元船長“母校に恩返し”のため50年ぶりに制服を着て鹿児島水産高校に入学
高校に入学した鮫島耕児さん(68)
新入生はなんと68歳。この春、鹿児島水産高校に47年間 船乗りを務めた男性が入学しました。入学してから約2か月、10代の高校生と過ごす50年ぶりの学校生活を取材しました。

■50年ぶりの制服「決まった!よし」

4月。鹿児島県枕崎市の鹿児島水産高校で開かれた入学式。たくさんの拍手で迎えられ入場する新入生の中にひときわ目を引く人がいます。鮫島 耕児さん68歳です。

(新入生・鮫島 耕児さん)
「(制服に)袖を通してみて鏡を見て。決まったよし!と思った」

鮫島さんは50年前に鹿児島水産高校の漁業科を卒業し船乗りとして47年間働いて65歳で退職。母校に恩返しがしたいと入学試験を受けてこの春、食品工学科に入学しました。

(鮫島 耕児さん68歳)
「ここを卒業するにあたって船長になって世界の海を渡ってみたいという夢があった。それを実現できたのは水産高校の礎があったから。この学校に恩返しをしたい」

■「仲良くなれるかな?」戸惑う同級生…頼もしさを感じさせる場面も

生徒たちに様々な経験を伝えることが鮫島さんなりの恩返しです。ただ、68歳のクラスメイトに不安をこぼす生徒も…。

(同級生)
「どうやって仲良くしていこうかな?不安はあった。正直、仲良くなれるかな」

入学して2か月。食品工学科の教室では英語の授業が行われていました。ALTからの質問に世界を船で周ってきた鮫島さんならではの英語力で答えます。

(教員)
「What is your favorite place?」

(鮫島 耕児さん68歳)
「Especially Auckland in New Zealand.」

先生さながら生徒たちに英語を教える場面もありました。

(鮫島 耕児さん68歳)
「wasで聞いているからwasで答える。相手に聞くときはyouだから過去形は?wereだね」

(同級生)
「わかりました!めっちゃわかりやすく教えてくれる」

生徒たちともすっかり打ち解けているようです。

■海の実習で力を発揮する“元船長” 涙する場面も…

この日は、小型実習船「拓青」での実習が行われました。鮫島さんたち食品工学科は遠洋航海の実習がない学科ですが、海に慣れるために乗船実習があります。

船内の設備の説明を受けた後、いよいよ出港です。船乗りだった鮫島さんにとって3年ぶりの船。すると鮫島さん。何かを思い出したようです。

(鮫島 耕児さん68歳)
「高校の時初めて乗船実習をしたときの出港している風景を思い出した。その時、すごく不安だった。やっていけるのかな…家族が手を振ってくれる…その時のことをを思い出した。泣いちゃったな」

50年前の高校時代に参加した2か月間の乗船実習を思い出し、胸を熱くするものがありました。

■操舵はお手のもの「スターボード、スターボード10サー」

実習では天候が良かったため、三島村の硫黄島へ向かいました。硫黄島近くに到着すると船を操縦する実習も行われました。操舵号令に合わせて右に左に舵をとっていきます。船長だった鮫島さん。今までは操舵号令を出す立場でしたが今回、初心にかえって号令を受けました。

(鮫島 耕児さん68歳)
「スターボード、スターボード10サー」

さすがお手の物。慣れた手つきで操舵号令に応えます。

(鮫島 耕児さん68歳)
「全然忘れていないですね。染みついています。手が勝手に動きます」

するとここで…

(船員)
「魚が来た!ヒットしたかもしれない」

流していたトローリングの仕掛けに魚がかかりました!大きなシイラも釣れて、いよいよ硫黄島に上陸です。

■硫黄島に上陸 同級生と満喫

(鮫島 耕児さん68歳)
「上陸!!緑がきれいですね」

上陸した後は昼食の時間です。先ほど釣れたシイラを船員がさばいて刺身にしてくれました。

(鮫島 耕児さん68歳)
「コリコリで最高!漁師にしか味わえない醍醐味。50年前こんなことしていました。トロール船に乗って」

(生徒)
「今まで食べた刺身よりもめっちゃおいしかった」

(鮫島 耕児さん68歳)
「うわーきれいだ。すごくきれいエメラルドだ。適温だ」

硫黄島の秘湯、東温泉にも行き、同級生らと一緒に初めての硫黄島を満喫しました。

(鮫島 耕児さん68歳)
「船長として世界をまわってみたいという夢を実現してくれたのも、実習船にも礎があったということを再確認した」

(記者)
「船に乗りたくなりましたか?)

(鮫島 耕児さん68歳)
「うーん。まずは彼らとの学園生活を思う存分楽しみたい今は。」

■50年ぶりの高校生活 先生、同級生にとって“心強い存在”に

50年ぶりの高校生活を楽しんでいる鮫島さんですが入学して2か月が経ち、クラスメイトにとってどんな存在になっているのでしょうか?

(同級生)
「頼りになる!心がひろい!頼もしい!優しいよね!」

(同級生)
「頼れる。たまに先生かと思うけど。リーダー!キャプテン!」

(女子生徒)
「優しいです。わからないところとかも教えてくれて素敵な方です。わかりやすい。めちゃくちゃありがたいです」

生徒たちの様子を毎日見ている担任も「鮫島さんは心強い存在だ」と話します。

(鹿児島水産高校食品工学科・幸田 成樹 教諭)
「生徒たちの模範、目標、道しるべになってくれているのではないか」

50年ぶりの高校生活を満喫して青春真っ盛りの鮫島さん。授業中もこの笑顔です。

(鮫島 耕児さん68歳)
「若い子たちと一緒になって和気あいあいしながら勉強している。実際やってみて楽しい。俺クラスメイトと楽しんでいるわ」と自覚している。そういうことが夢だった」

様々な経験を経て母校に再び入学した鮫島さん。10代の生徒たちと過ごす楽しい学校生活はまだ始まったばかりです。
(KYT news every.かごしま 2024年5月30日放送)

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