"いまがいちばんしあわせ" 家庭を味わってほしい・・・。里親の想い
10月は「里親月間」です。様々な事情で親元で暮らせない子どもたちについて考えます。そうした子どもたちを家庭に迎え入れ育てる里親、そして里親を支える人たちを取材しました。
一緒に暮らして3年。最近、ようやく子どもらしい我儘な様子も出てきたと笑います。
(林元 和代さん)
「お父さんとお母さんが一緒に連れて帰って来てくれたから、今が一番幸せって。気が付いたと、ときに言います。私なんか泣けてきますよ」
■里親制度 ご存じですか!?
県内には259世帯の里親と5、6人の子どもを育てるファミリーホームが9か所あり、年に1度集まって、子どもへの対応などについて学んでいます。複雑な事情を抱える子どもを受け入れ24時間一緒に生活する簡単なことではありません。
(参加者)
「普通に接しようと思っているが、やっぱりどこまで聞いていいとかどこまで言っていいとか」
(専門里親)
「発達障害と知的障害です。里親も高齢だったりするので急に具合が悪くなったりする。そういう時に預けられるそういうのがあったらいい」
ファミリーホームを始めて丸10年。家族旅行はもちろん、親族の結婚式や葬式にも里子たちを連れて参列。“家族のかたち”を作ってきました。
(妻・冨永康代さん)
「一番最初に受けた子は結婚して、子どもを連れて明日も子供と泊りに来る。もうじいちゃん、ばあちゃんですから」
相談員は離島も含め県内に15人。里親の元を定期的に訪ね、生活面や進路の相談などにのっています。緊急性の高い子どもを預かることも多いという牧さん夫婦も、相談員の存在は里親にとって大きいと話します。
(牧富子さん)
「夜の10時とか11時とか今、子供が家を飛び出しましたとか、そういう時に、すぐに対応して頂ける心強さは何物にも代えられない。子どもと実際に面接してくださったり、子ども達も、私達に言えないことを先生達に話すことが出来る」
相談員は各地で開かれている里親制度の説明会にも顔を出し、里親登録を検討する人の相談に応じています。
(参加者)
「今、不妊治療とかしていて、うまくいかないというのもある。家族の繋がりは血だけじゃないと思っているので」
(参加者)
「やってみたいという気持ちではある」
月に2回、 相談員が集まるケース会議の日。担当する里親や、子供の情報を共有し難しいケースに、どう対応するかなど数時間をかけ話し合います。
(会議)
「委託したときから暴言が激しくて人形を早く寝ろって殴ったり」
「母親だけに出すというのは母親との関係性での積み重ねの中で問題が起きていることが予想されますよね」
「過敏なところがあったりするので色んなものが混在している子なので、里母さんだけじゃ対応が難しくなっている」
県内には親元で暮らせない子どもが666人いて、その8割以上が施設で暮らしています。里親委託率は17%。目標とする乳幼児で75%、学齢期で50%には遠く及びません。
県は里親の育成や支援を強化しようと年内にも「里親支援センター」を設置する計画で、南さつま市の社会福祉法人と運営について協議を進めています。センターの運営を担う予定の相談員の川﨑さんです。
(川﨑誠吾さん)
「子どもの問題が複雑化してきているので(里親が)自分で抱え込んでしまう可能性もある。そうでなく周囲の関係機関、センターができればセンターの職員、児相も、その子と里親を支える仕組みが出来ないといけない」
乳児院にいた子供と養子縁組をして親子になった林元さん。家庭で暮らせる子供が増えてほしいと話します。
(林元和代さん)
「幸せじゃないことはないです施設が。ご飯も食べさせて、洋服もあって教育もちゃんと受けさせてくれる。ですけど、家庭を味わってほしいなって。一人でも多く家庭で育ててあげたいなって」
いつも自分を見てくれる大人がいる家庭での当たり前の暮らし。子どもたちの健やかな育ちを守る取り組みが求められています。
(KYT news every.かごしま 10月30日(水)OA)