前生活安全部長「本部長が犯罪行為隠ぺい」 5日の法廷で本田容疑者は 警察情報漏らした疑いで逮捕
職務上知り得た秘密を漏らした疑いで逮捕・送検された鹿児島県警の前の生活安全部長が、県警のトップを名指しして「犯罪行為を隠蔽しようとした」と訴えた問題です。警察庁長官は6日「捜査の中で必要な確認が行われていく」と述べました。
職務上知り得た秘密を漏らした疑いで逮捕・送検された、県警の前生活安全部長、本田尚志容疑者(60)
警察によりますと本田容疑者は退職直後の2024年3月下旬、在職中に入手した警察の内部文書を第3者に郵送し、職務上知り得た秘密を漏らした疑いが持たれています。警察庁のトップ露木康浩長官は、6日の会見で逮捕容疑についてこう述べました。
(警察庁・露木康浩長官)
「鹿児島県警察の前生活安全部長が同県警の他の部長の氏名、住所、電話番号などを問い合わせ先などと記載したうえで、公表を望んでいないストーカー規制法違反事件の被害女性の実名などを第三者に漏らしたという国家公務員法違反事件であります」
その本田容疑者はきのう勾留の理由を開示する手続きのため出廷し動機についてこう主張しました。
「鹿児島県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠蔽しようとしたことがあり、そのことが、いち警察官としてどうしても許せなかった」
名指しされた野川本部長は6日朝。
(記者)
「隠ぺいは本当ですか」
無言で県議会へ。
6日は答弁の機会はありませんでしたが、議員から知事に対し野川本部長の更迭を求める声も上がりました。
野川本部長はその後も「隠ぺいしたのか」という記者の問いに肯定も否定もしませんでした。5日、法廷で意見を述べた本田容疑者。
「本部長が隠ぺいした犯罪行為」として挙げたのが2023年12月、枕崎市で起きたトイレでの盗撮事件。盗撮などの罪で枕崎警察署の巡査部長鳥越勇貴被告(32)が逮捕・起訴されています。枕崎署の捜査車両が使われた疑いがありましたが野川本部長は。「最後のチャンスをやろう。泳がせよう」こう言って捜査指揮簿に判を押さなかったといいます。
また、別の警察官が市民からの情報をまとめた「巡回連絡簿」を悪用しようとした事案も明らかにされなかったと主張。「私は不都合な真実を隠蔽しようとする県警の姿勢にさらに失望しました」
記者に情報を送ったことを認め、「不祥事が明らかになることで後輩にとって良い組織になってもらいたいという気持ちだった」と述べました。
本田容疑者の弁護人は。
(永里桂太郎弁護士)
「本田さんは自分の正義のために行動されたと思っていて非難されるべきは組織の方だという風に思っていますので、本田さんが勾留されるというのは不当だと思います」
勾留を不服として取り消しを求めましたが、鹿児島簡易裁判所は6日までにこの請求を却下しました。
本田容疑者の主張について警察庁の露木長官は、「鹿児島県警において必要な対応がとられていたと報告を受けている」と述べました。
(警察庁 露木康浩長官)
「被疑者の主張については本件捜査の中で必要な確認が行われていくものという風に考えている」
今後警察庁としても県警に対し監察を行う考えを示しました。
他県の県警本部長を務めた経験を持ち警察行政に詳しい京都産業大学の田村正博教授は。
(京都産業大学 田村正博教授)
「目的が正当であったら何をやってもいいわけではないと思う。組織について意見を言う、それが中で通らないから外で言うのはあり得るかもしれないがだからといって他の個人の権利を侵害することはあってはならない」
一方、県警の対応については。
(京都産業大学 田村正博教授)
「大きな衝撃を県民の方々受けておられるわけですから見解を言うのが本来だと思う。早い時点で見解を明らかにして事実関係が明らかに出来るようなった段階で総括と言うか全体を通したことを組織として明らかにする」
また、今回の事案を受け止め高いレベルの情報管理が求められる時代であることを県警全体でより認識する必要があると述べました。