人気は “小説や脳トレ” 高齢者福祉施設で月イチ「本の出張販売」笑顔や会話が増える場に《長崎》
月に一度、高齢者福祉施設を訪問する「本」の出張販売を取材しました。
笑顔あふれる社会貢献活動です。
施設の中に運びこまれる段ボール箱。その中にはたくさんの「本」が入っています。
雑誌や小説のほか脳トレ、趣味の本、文字が大きな辞典などが人気だそうです。
長崎市の高齢者福祉施設「ケアハウス稲佐の森」。
月に一度、長崎市の書店がやってきて本を販売します。
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「(前回)小説が読みたいと言われたので、出たばかりの新刊を持ってきた。児童本は孫や、ひ孫がお見舞いに来るらしく、その時にプレゼントするための本」
午後2時。「1日本屋さん」の開店です。
開店するとすぐ、次々とお客さんが集まってきました。
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「これ(パズル)楽しんでくださいね」
(女性利用者)
「頭の体操になる?」
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「頭の体操になりますよ。お楽しみください」
(男性利用者)
「歌の本は?」
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「先月持っては持ってきていたのに、歌の本は今日はないんですよ。(次回)持ってきますよ」
書店の出張サービスを、施設内の皆さんも心待ちにしているようです。
(利用者)
「“長生きのコツ” とか読んでみたいと思っている。(本屋が来るのは)よかですねぇ」
(介護職員 溝江千鶴さん)
「(この出張販売に)お出かけするのに、洋服を着替えたり。こういう楽しみにするという機会がいい刺激になって喜んでいる」
本を取り巻く環境は急激に変化が訪れていて、“ネット書店での通販” や “電子書籍での購入” が増えていますが、そのスタイルは、高齢者にとってハードルが高いのが現実。
出張販売は、そんな高齢者に寄り添う「社会貢献活動」です。
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「体力的に店まで行けない高齢者には、すごく喜ばれる」
86歳の若杉重信さんも、読書を楽しんでいます。
推しは「時代小説」です。
(若杉重信さん(86))
「読めば楽しくなって続きを探して。だから本屋に行けばずっと見てしまう」
この日のお目当ては…。
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「これは安徳天皇が、実は生きていたという話。日本の壇ノ浦の話で面白いですよ」
(若杉重信さん(86))
「字が小さいね」
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「老眼鏡もありますよ」
時代小説の人気作家 佐伯泰英さんの新刊3冊。そして、すすめられた歴史小説を選びました。
(若杉重信さん(86))
「読み始めたらきりがない。みんな楽しみにしている。(もっと)いろいろな種類の本もあったらいい」
月に1度の「本の出張販売」。
本が届くことで、施設では会話や笑顔が増えているようです。
(メトロ書店 川崎綾子社長)
「皆さんの顔を見ると生き生きしたのがわかって、何か本を通じて高齢者の役に立つことがしたい」