長崎刑務所で“全国初”の取り組み「知的障害のある受刑者の社会復帰支援」福祉の接し方も応用《長崎》
知的障害がある受刑者の社会復帰を支援する「モデル事業」の中間報告会が、長崎刑務所で開かれました。
社会福祉法人や大学などと連携した全国初の取り組みで、受刑者の作業の様子などが公開されました。
黙々と花火の持ち手を作っているのは、知的障害がある受刑者たちです。
一般的な刑務作業を行う前に細かな手順を覚えています。
刑務所を出所して、2年以内に再び入所する知的障害者は25.8%で、全体の平均よりも高く、短期間で犯罪を繰り返す傾向があるとされています。(出所者全体は13%)
そこで、長崎刑務所で2年前から始まった「支援モデル事業」では、知的障害やその疑いがある受刑者に対し、社会復帰に向けて障害の特性に応じた作業や、カウンセリングなどを行っています。
床に描かれた色違いの3つの円は、“適度なコミュニケーションの距離” を理解してもらうための工夫です。
(長崎刑務所 多田 裕史 総務部長)
「この距離だと(普通の感覚では)近いが、知的障害のある人の中には『近い』とか『相手にとっては嫌な距離』と気づかない人もいる。
それを目に訴えて分かるように “これくらいの距離がいい” と覚えてもらうためのしかけ」
3日は法務省をはじめ、連携して事業に取り組む社会福祉法人や大学の関係者が集まり、これまでの成果が報告されました。
(長崎刑務所 平川勝文 首席矯正処遇官)
「(受刑者が) “自分を大事にしてもらっている” という感覚を持ってきている気がする。
誰かに頼ることは自分にとって大事なんだという(受刑者の) “態度変容” が、1つの成果として実感を得ている。
福祉の接し方が大事なんだと、効果があるんだという実感は、我々も肌で感じることができるようになってきた」
法務省では、2026年度まで事業を行って検証した上で、全国の刑務所に展開したい考えです。