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【ナゼ】頭部・手足が切断された被害者は“新婚”国交省職員…同じマンションに住む男との“接点”は? 事件後にATМで金を引き出しも…謎に包まれた動機と経緯

2025年2月15日 9:00
【ナゼ】頭部・手足が切断された被害者は“新婚”国交省職員…同じマンションに住む男との“接点”は? 事件後にATМで金を引き出しも…謎に包まれた動機と経緯
大木滉斗容疑者の送検(今月3日)

 大阪府東大阪市の山中などで国土交通省職員の男性の切断された遺体が見つかった事件で、無職の28歳の男が死体遺棄の疑いで逮捕されてから10日あまり。警察は殺人の疑いも視野に捜査しているが、2人には「同じマンションの住人」という以外の“接点”は明らかになっていない。男が事件後、コンビニのATМで被害者のキャッシュカードを使い金を引き出していることは判明しているものの、いまだ動機や犯行前後の詳しい経緯は謎に包まれている―。

■新婚のフィリピン人妻に会いに行く日に…「真面目で頑張り屋」

「本当にただただショックよ。真面目で頑張り屋のいいやつで、フィリピン人の女性と結婚すると言っていたのに…」

 被害者で国交省航空保安大学校の会計課長、神岡孝充さん(52)の知人男性は事件を知り、肩を落とした。

 事件の端緒となったのは、去年の年末にそのフィリピン人の妻からあった警察への一本の電話だった。

「突然夫と連絡が取れなくなった」

 神岡さんは去年12月27日、自宅でのテレワークを終えたあとから行方が分からなくなっていた。妻から相談を受けた警察は、大阪市中央区の神岡さんの自宅マンションを確認。部屋は荒らされた様子はなかったが、神岡さんが旅行の準備をしていた形跡があった。27日の勤務後、妻に会いにフィリピンに向かう予定だったという。

 警察は神岡さんが事件に巻き込まれた可能性も視野に捜査を開始。マンション内で聞き込みをしていると、エントランスで偶然居合わせた1人の男性が、「マンションに住む息子が1月中旬から行方不明になっている」と話した。この息子が、後に死体遺棄の疑いで逮捕されることになる大木滉斗容疑者(28)だった。

■金髪のカツラ姿に変装→すぐに黒髪姿に 頭部は別の場所に遺棄…不可解な行動

 同じ時期に同じマンションから行方不明になった2人―。

 疑念を抱いた警察は大木容疑者の足取りをたどると、神岡さんが行方不明になった翌日の12月28日夜、大木容疑者とみられる人物が肩にかかるほどの長い金髪のカツラで変装し、自宅近くを歩く様子が防犯カメラに映っていた。

 手には保冷バッグのような袋を載せたキャリーケース(縦約70センチ、横約40センチ、奥行き約30センチ)。捜査関係者によると、このケースについて、大木容疑者は調べに対し、「数日前に自宅近くのスーパー付近で拾って、遺体を入れて運んだ」と供述しているという。

 一方、その約20分後に近くの路上で、別の防犯カメラに映った大木容疑者とみられる人物は、黒髪の帽子姿に変わっていたほか、保冷バッグのような袋はなくなっていた。

 警察は防犯カメラの映像をつなぐ「リレー捜査」で、大木容疑者が12月28日夜、キャリーケースをひいて電車に乗り、自宅から約13キロ離れた、近鉄「額田駅」で降りたのを確認した。

 1月25日、駅から600メートルほど離れた山中にある空き家やその付近で、頭部や両腕、両脚が切断された神岡さんの遺体を発見した。司法解剖の結果、死因は「窒息」とみられ、12月下旬に死亡した後に切断された可能性が高いという。近くではカメラに映っていたのとよく似たキャリーケースも見つかった。

 遺棄された現場は車が入れない細い山道で、近くに寺があるが、日中はたまにハイキングで人が通る程度だった。大木容疑者がなぜこの場所を選んだのかは明らかになっていない。

 さらに2月3日、東大阪市の山中では見つかっていなかった切断された頭部が、大阪市中央区の現在は使用されていないマンションの敷地内で見つかった。近くには保冷バッグも落ちていて、警察は大木容疑者が山中に遺体を運んだ後に、保冷バッグに入れていた頭部を遺棄したとみている。

■大阪・京都のコンビニで被害者のカード使い現金引き出し…和歌山の景勝地「三段壁」で確保

 事件後の1月10日には、大木容疑者とみられる人物が大阪市生野区のコンビニエンスストアのATМで、神岡さんのキャッシュカードを使って現金50万円を引き出す姿が映っていたほか、その後に京都市東山区のコンビニでも現金を引き出したことが判明している。

 そして大木容疑者が向かった先は、高さ50メートルの断崖絶壁が続く和歌山県の景勝地「三段壁」だった。

 2月2日に付近を数時間うろうろしていたのを不審に思った近隣住民が警察に通報し、大木容疑者は警察に確保された。その際、神岡さんのキャッシュカードは持っていなかったという。

 ある捜査幹部は「自殺などしていたら真相は闇のままだった。その前に確保できたのは大きかった」と打ち明ける。大木容疑者は死体遺棄容疑について、逮捕直後の調べに「間違いありません」と容疑を認めた。

■“接点”は「同じマンションの住人」…定職つかず金に困っていた可能性も

 動機は一体何か―。明らかになっている2人の唯一の接点は「同じマンションの住人」ということだが、それぞれ別の階に住んでいて、警察はトラブルは確認していないという。

 大木容疑者の両親によると、大木容疑者は和歌山県の大学を途中で辞めていて、最後に会った去年11月末には、『今は契約社員だからしっかりとした仕事に就けるように頑張る』と話していたという。

 大木容疑者の母親は「暴力を振るうような子ではないのになぜ…」と憔悴した様子だった。

 金目当ての犯行だったのか、それとも、限られた人間しか知らない何らかのトラブルがあったのか―。警察は、殺人の疑いも視野に、2人に面識があったのかどうかなど、事件の全容解明を進めている。

最終更新日:2025年2月15日 15:19
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