櫂に魂込め前へ前へ!「長崎ペーロン選手権大会」“伝統”と”誇り”を胸に海の町の熱き戦い《長崎》
熱戦が繰り広げられた長崎ペーロン選手権大会。
出場チームの一つ「福田東部チーム」は猛練習を重ね、いよいよ本番に挑みました。
長崎の夏の風物詩「ペーロン」。
長崎港で開催される「長崎ペーロン選手権大会」は、出場チームが意地と誇りをかけ戦いに挑む大会です。
参加チームの一つ「福田東部」は、ペーロンを通して “人や地域の絆” を深めてきた伝統の地区。今回の大会も櫂に魂を込め、高みを目指します。
(レース直前)
「準決勝、決勝まで行くけんな」
この大会は、予選上位2チームが準決勝進出。
各ペーロンがスタートの合図とともに、一斉に漕ぎ出します。
ドラと太鼓の音に合わせ、一糸乱れぬ櫂捌き。
先頭を進むのは深堀チーム。福田東部は3番手から追い上げをはかります。
ターンからは後半の勝負に。そして…
激しい水しぶきが上がる中、1着でゴールしたのは琴海チーム。
熾烈な2着争いも…福田東部は4着に。準決勝への道は、敗者復活戦で “2位以内”に入ること。
福田東部、「崖っぷち」です。
今年3月。チーム練習が始まりました。
その頃は週4日の練習が、7月には週6日のペースで行われていました。想像を絶する猛練習には、大会にかける思いがありました。
(中村 敬博監督)
「去年は13位中13位。一番最下位」
今年加入した新人8人と共に一糸乱れぬ櫂さばきを目指します。
(監督指示)
「大きく 大きく。水中を早く」
大会2日前になっても、ハードな練習は続いていました。
そして練習後の食事には、必勝を誓うゲン担ぎの「カツ」です。
大会で使う真新しい船には「柿泊」の文字。
漕ぎ手不足で参加できなかった福田西部チームから借りたものです。
(中村 敬博監督)
「これを借りる時に “必ず決勝に行って来いよ” と言われたので、その思いを込めて福田東部として頑張りたい」仲間の思いも背負った戦いです。
いよいよ7月28日、大会当日。一般対抗レースには、地区の代表など16チームが出場。
予選と敗者復活戦のそれぞれ上位2チームが、準決勝に駒を進めることができます・
予選4位で敗者復活に臨む福田東部チーム。
1番櫂を務めるのは、片山 省吾さんと牧島 澪さんです。
歴史ある大会で女性が1番櫂を務めるのは初めてのこと。
(円陣)
「ぶっちぎるぞ」
敗者復活戦、 スタート。
好スタートを切った福田東部。優位にレースを進めます。
しかし、折り返しで大回りに…。
その隙に他のチームに追いつかれ、三つ巴の状態になります。
これまでの練習を信じて。そして、仲間を信じて。
努力は「結果」として表れました。
さらに続く「準決勝」。
全力でペーロン船をすすめるも、決勝進出はならず。
福田東部の熱い夏が終わりました。
(牧島 澪さん)
「悔しさ半分。来年、マジで決勝に行きたいな」
(片山 省吾主将)
「やり切った感はある。まだ完璧じゃないので、来年につなげられるように。来年につなげられるペーロンかなと思った」
固い絆で限界に挑んだ5か月間。
戦いの後に残ったのは、「頂点」へのさらなる熱意でした。
今年かなわなかったその思いを載せたまま、ペーロン船は来年の夏を待ちます。
文字通り、熱戦が展開されたペーロン選手権ですが、福田東部チームが出場した一般対抗レースは、野母崎が大会3連覇を果たしました。