今年の春闘「主流は致し方なく賃上げ」原資乏しい企業も 地場・中小企業の中で ”格差”も《長崎》
今年の春闘での賃上げの状況についてみていきます。
連合長崎は、10日、2回目となる賃上げ集計結果を発表しました。
その結果によりますと、要求を出した140の組合のうちこれまでに101の組合が妥結。
定期昇給やベースアップを含む賃上げ額の平均は、去年の同じ時期より約4500円高い1万4312円となっていて、1990年の連合長崎の結成以来、最も高くなっています。
平均賃上げ率は4.9%で、去年の同じ時期より1.58ポイント増加。
このうち県内に本社を置く「地場」は5.18%と、全体を上回っています。
連合長崎は「地場中小の中でも格差が生まれつつあり、引き続き注視が必要」としています。
その中小・地場企業の交渉が佳境を迎えている今年の春闘の特徴を、民間調査会社に取材しました。
(帝国データバンク長崎支店 水城 利治支店長)
「好循環に乗っているという印象よりも、どうしても致し方なく賃上げをせざるを得ないというのが主流。外圧的というか、例えば輸入品、原材料費が上がってきている中で賃金も上げざるを得ないという流れが現状の流れ」
民間の調査会社帝国データバンク長崎支店の 水城利治支店長。
人手不足が深刻化する中、人材の確保や定着を図りたい企業の実情が背景にあると指摘します。
支店が県内企業を対象に行った意識調査によりますと、賃金改善の理由は
「労働力の定着・確保」が最多の91.1%。
次いで「従業員の生活を支えるため」が60.7%に上りました。
(帝国データバンク長崎支店 水城 利治支店長)
「本来は物が売れる、利益が上がる、従業員に還元する、そういった好循環によって生まれていっている賃上げであれば持続的にいくが、皆さんの士気も上げるために賃金上げた。でも減益になったということであれば、同じような水準で賃上げをできる企業は限られてくる」
厳しい収益環境の中、賃上げの原資に乏しい企業も少なくないため、地場中小企業の中でも格差が生じるとしています。
(帝国データバンク長崎支店 水城 利治支店長)
「かなりの数の(経営者)は、従業員に還元したいという気持ちは持っている。ただ、それは企業体力とのバランスなので、やたらと増やしたら立ちゆかなくなって、逆に廃業や倒産になれば、従業者を路頭に迷わせることになってしまうので、その辺のバランスは非常に難しい」
連合長崎による今年の春闘の最終的な賃上げ集計の結果は、来月7日に公表される予定です。