人々の “心のよりどころ”に「BOOKSライデン」解釈を語り合う「輪読会」も開催《長崎》
常連客などでいつも賑わう書店。
デジタル化などで全国的にその数が減る中、人気を集める理由とは。
魅力に迫ります。
長崎市出島町にある「BOOKSライデン」。
約40㎡の小さな店内は、半分が書籍エリア、もう半分は6席ほどのカフェスペースです。
経営するのは、前田侑也さん31歳。
(BOOKSライデン 前田侑也さん)
「もう少し、本質的な本を大事にできないだろうか。読者をその上のステージに引っ張ってくれるような本を、もっと大事にできないだろうか(と考えた店)」
店は、前田さんが3年前に脱サラして 開きました。
大阪出身。学生時代から本が好きで、大学卒業後は東京や大阪でエンジニアとして働いていましたが、旅行で訪れた長崎の景色に心を動かされました。
(BOOKSライデン 前田侑也さん)
「よその町には絶対にありえない景色。ダイナミックに、坂に家が建っていてすごいなぁと頭から離れなくて」
これが転機となり、“いつか自分の書店を持ちたい” という思いを叶えました。
近年、減少傾向にある「書店」。
「日本出版インフラセンター」によりますと、全国ではこの10年間で、4700店近くの書店がなくなっています。
主な要因は、雑誌や漫画のデジタル化。
特に、小規模な店への影響は大きいといいます。
そんな中、オープンした「BOOKSライデン」には、前田さんが読み込み、厳選した本が並びます。
そして、ここを訪れる人たちは「求める1冊が必ず見つかる」と話します。
(常連客)
「本の中に自分が探していた答えがある。前田さんの感性で、今まで知らなかった筆者に出会える。とても感謝している」
この日は営業終了後、あるイベントが…。
隔週で開催される「輪読会」です。
1冊の本について、参加者それぞれの解釈を共有しながら理解を深めていきます。
前田さんが高校生の時の、ある授業がきっかけでした。
(BOOKSライデン 前田侑也さん)
「その授業がユニークで。決められた文章をゆっくりじっくり(みんなで)読み解いていく授業だった。それがすごく楽しくて」
人生経験や価値観も違う参加者からは、さまざまな意見が飛び出し、2時間半ほど、じっくりと 話し合いました。
はじめて参加した男性は…。
(初参加の男性客)
「用語がかなり難しかった。またライデンで、前田さんと話しながら理解を深めたい」
本を通して人をつなぐ。
コーヒーの香りが漂い、ゆっくりと時が流れる「BOOKSライデン」。
そのカウンターには、いつも笑顔の前田さんがいます。
(BOOKSライデン 前田侑也さん)
「知らないことを知っていく。楽しさをみんなで楽しめることは、非常に豊かなことなのでは。
人として成長させてくれる。そんな場所に僕にとってはなっているが、皆さんにも提供できていたらいいな」