【衆議院選挙】県初の首相が誕生するなど選挙への関心度の高さが上がっている鳥取県 各小選挙区の情勢は
10月27日に実施される衆議院選挙。21日に総務省は、20日までの期日前投票の中間状況を発表しました。
その発表によりますと、全国の4.48%に当たる約467万人の有権者が投票しています。山陰両県を見ると、鳥取県が6.7%、島根県は6.87%。鳥取県では、前回衆院選の同時期と比べると31%増加と、全国で最も増えていて今回の選挙への関心度の高さが分かります。そんな鳥取県民からも注目される2つの小選挙区の情勢を追います。
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鳥取2区に立候補したのは届け出順に
・立憲民主党の前職・湯原俊二 候補
・自民党の前職・赤沢亮正 候補
・共産党の新人・福住英行 候補
以上の3人です。
湯原俊二 候補
「私は企業団体献金を受け付けておりません。今日までも政治資金パーティーを開いたこともありません。改めてこうした政治とカネの問題、 脱税の容疑がかかるような金まみれの政治を変えていかな ければならないと考えます」
第一声では自民党の裏金問題を追及した立憲民主党の湯原俊二氏。今回の選挙戦では、企業・団体献金の禁止やアベノミクスにより、広がった地域間の経済格差是正を訴えています。
また、有権者の声を聴くため2007年から始めたつじ立ちは、7000回以上。前回の衆院選で比例復活で当選して以降も、朝と夕方に地元での街頭演説を続けています。そんな地道な活動を通して無党派層、そして自民党への批判票を取り込みたいところですがー。
湯原俊二 候補
「まだまだ分かりませんね、正直言って。政治とカネで全国的には自民党に逆風が吹いている。ところが47都道府県のうちこの鳥取県だけは、石破さんが総理大臣になったということで風向きが真反対で野党に逆風が吹いている」
それでもかつて農業に従事した経歴を踏まえ農業政策の改革もアピールしています。
湯原俊二 候補
「私は家族経営の農家小規模農家を一緒になって支援をしていく。食料自給率を下げない。農村の集落を守るためにも個別所得補償制度を訴えています」
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赤沢亮正 候補
「この鳥取県から日本を変えていく、鳥取県からの地方創生、県民所得を上げ、人口流出を止め、そして東京一極集中を是正をする、この鳥取県から日本を変えていく」
石破内閣で経済再生担当大臣を務める赤沢亮正氏。2005年の初当選から今回で、7期連続の当選を目指します。赤沢氏は、人手不足対策と賃上げ、防災力の強化、そして女性活躍の推進などを訴えていきます。ただ、今回の選挙では自民党への批判も実感ー。
赤沢亮正 候補
「むちゃくちゃ逆風ですよ。とにかくやっぱり大方の国民の意識って、1円でも我々不記載って言ってますけど、1円でもいわゆる裏金を作った議員は全員辞めさせろっていう声が地元でも相当多いですから」
さらに、大臣としてほかの候補者の応援で一時、選挙区を離れることに。18日を最後に選挙区を離れた赤沢氏。この日開かれた決起大会には約1000人が集まり、支援を呼びかけました。
赤沢亮正 候補
「選挙の弱い私が応援に出るっていうのは、一体なんなんだと自分でも思います。ただ、大臣を引き受けた以上、その難儀な勤めをしっかり果たさないといけませんので、やっぱり過半数獲得しなければ、これもう石破政権が続かないってこともあり得るので、それはもうほんとうに真剣にやりたいと思っています」
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福住英行 候補
「消費税は5%に減税。インボイス廃止。税金は大企業や大金持ちにもうけにふさわしい負担を求めれば、年金の引き上げ社会保障の充実、教育費の負担軽減、そうした財源は十分作れます」
共産党から立候補したのは、鳥取県委員会の党県常任委員を務める福住英行氏。企業団体献金や政治資金パーティー禁止などクリーンな政治を訴えていきます。さらに、島根原発から30キロ圏内にあたる地域ではー。
福住英行 候補
「境港でも万が一島根原発事故が起こったら、計画通りに避難などとてもできません。地震列島のこの日本に原発はあってはなりません」
遊説以外にも支持拡大に向けて、力を入れているのがSNSを使った活動。直接演説を聞くことができない有権者に対して、自分の考えを発信しています。
福住英行 候補
「ここまで暮らしが痛めつけられたのは、やっぱり裏金政治で大企業優遇してきたこれまでの政治のあり方が問題だと思いますので、裏金、金券腐敗政治一掃と暮らしを良くすることを一緒に訴えていきたいと思います」
NNNと読売新聞が行った情勢調査によりますと、自民党の赤沢氏が優勢で、立憲民主党の湯原氏が追う形となっています。共産党の福住氏は厳しい展開となっています。
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変わって鳥取1区。立候補しているのは届け出順に、
・立憲民主党の新人 朝倉浩之 候補
・共産党の新人 岡田正和 候補
・自民党の前職 石破茂 候補
以上の3人です。
朝倉浩之 候補
「とにかく小さくても集落のところでもちっちゃいところでも行って、声出していくっていう」
立憲民主党の新人・朝倉浩之氏です。鳥取1区で民主党系の候補が立つのは15年ぶり。地元テレビ局でアナウンサーを務めた後、9月まで東京都職員として勤務していた経験もあり、疲弊する地方の実情と、人、モノ、カネが集中する東京の状況がよく分かるといいます。選挙戦では東京一極集中の是正などを訴えます。
朝倉浩之 候補
「この鳥取、ちょっとずつ人が少なくなっているんじゃないか。ちょっとずつ駅前の活気が失われているんじゃないか。そんな風に私も感じていました。この人口減少の問題、何とか歯止めをかけないとダメ。そのためには公務員をやっていたんじゃダメなんだ、政治の力でこれを変えていかなきゃいけない」
こうした声を有権者に届けようと市街地だけでなく、中山間地の小さな集落までくまなく回ります。課題となっているのは、知名度。現職首相のお膝元での選挙戦は当初の予想通り、厳しいものになっています。
朝倉浩之 候補
「日本の総理だから小選挙区でね。勝つのは本当に大変だというのは分かってるんですけど、でもやっぱりこの選挙は1位にならなきゃダメで2位じゃダメなんですよね」
選挙戦後半も選挙区を回り支持を呼びかける一方、終盤には演説会を開き支持拡大を図るということです。
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岡田正和 候補
「皆さん、おはようございます。日本共産党です」
18日、鳥取市内で遊説を行っていたのは共産党の新人・岡田正和氏。
岡田正和 候補
「自民党の裏金問題説明責任を果たせの追及を行ってまいります」
訴えるのは、自民党の裏金問題の真相究明や企業団体献金の禁止などです。12日間の選挙戦を通じ150回以上、街頭演説を行い、政権に批判的な有権者の票を取り込みたい考えです。
岡田正和 候補
「鳥取1区だからこそ総理に対して裏金問題やっぱりしっかり正さないとダメじゃないかということと政党助成金、企業・団体献金の禁止と政治の実現を総理に問うことができる、という意味でもこの鳥取1区の選挙はとても楽しく感じています」
裏金問題と共に有権者へ強く訴えるのが暮らし最優先の経済再生です。
岡田正和 候補
「皆さん、私はこの格差と貧困を正し、国民の暮らし応援の政治に切り替えてまいります」
「鳥取県は賃金が安い、仕事と子育てが両立できない、時間がないなどの賃上げと労働時間を要求する声がたくさん寄せられています」
選挙戦後半は、街頭演説のペースを上げ、有権者に対し丁寧に政策を伝えることで、共産党の支持層だけでなく無党派層にも支持を呼びかけていくということです。
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石破茂 候補
「鹿児島はよく来るんですけど、ひょっとしたら実物を見るのは初めてという人もいるかもしれません。テレビで見るより怖くないと言われております。自民党総裁石破茂であります」
自民党の前職・石破茂氏です。自民党総裁として、全国の自民党候補者の支援に奔走していて19日は、朝から鹿児島入りし、応援のため、街頭演説に立ちました。
19日の午後8時前には千葉で街頭演説を行いました。
石破茂候補の妻・佳子さん
「本人が今日は鹿児島・千葉に行っておりまして伺えませんでした。本当に申し訳ないです。皆さま方の長年の応援のおかげでこのたび内閣総理大臣という重責を頂きました。本当にありがとうございます」
石破氏が選挙区入りできない中で、陣営の最前線に立っているのが石破氏の妻・佳子さんです。19日、選挙カーが走っていたのは、石破氏の地元、鳥取県八頭町。佳子さんは集落一つ一つに立ち寄り、支持者と握手を交わしながら石破氏の進める自民党改革や地方創生などを訴えます。
石破茂候補の妻 佳子さん
「本人が帰らない分どこまで伝えられるか、そこを自分で工夫しながら短いフレーズでもお伝えできる工夫をしていきたい」
石破氏は盤石な支持基盤に加え、鳥取初の首相として注目され、幅広い層から支持を集めています。
現職の首相に新人2人が挑む鳥取1区。石破氏が安定した選挙戦を進める一方、朝倉氏と岡田氏には厳しい戦いとなっています。