平井知事「ビジネスに選挙を利用してはいけない」 東京都知事選のポスター掲示板問題 一部の候補者が営利活動に選挙を利用している可能性を指摘 鳥取県
鳥取県の平井伸治知事は6月26日、東京都知事選のポスター掲示板に候補者以外が写ったポスターが多数貼られた問題を巡り、「ビジネスに選挙を利用してはいけない」などと話し、一部の候補者が営利活動に選挙を利用している可能性を指摘しました。
平井知事は、開会中の鳥取県議会の一般質問に対する答弁の中で、1982年に参議院議員の比例代表選挙が導入されて以降、小規模な政党・団体が候補者を乱立した状況と現在の都知事選が重なっているとし、公職選挙法の改正を含めた対応が必要だとの認識を示しました。24日にも議会の休憩中にメディアに対し、都知事選の問題点を指摘していて今回、さらに踏み込んだ発言をした格好です。
比例代表制導入後の参院議員選挙では、ピーク時の1989年に40近い政党・団体がそれぞれ複数の候補者を擁立。候補者の政策などを紹介する新聞広告は全額が公費負担となっていて、“無料”掲載のための多額の費用が問題となりました。。当時の状況を振り返り、平井知事は「(制度に)死角があった。当時、指摘されていたのは、広告を仲介する業者の存在で、新聞広告費の一部を(団体に)キャッシュバックすることで供託金などを補っていた」と話しました。
過去に総務省(旧自治省)で選挙制度改革などにかかわった経歴から、こうした問題に知見を持つ平井知事。1992年には公選法が改正され、参院選の供託金は比例代表で400万円から600万円に引き上げられたほか、新聞広告の公費負担制度も「得票率が1%を切った場合は実費負担」とする制限が付き、立候補の条件が厳しくなったことで、一連の問題は解消されたということです。
それから30年。インターネットを中心に技術革新が進み、有権者と候補者の距離が近くなった半面、当時は予想もしなかった制度の弱点が悪用される事態に―。「ビジネスに選挙を利用してはいけない。どうせ金儲けなんでしょ、それなら私(有権者)たちは利用されているだけじゃないかという事態になってしまう」と嘆く平井知事。選挙に対する失望が政治不信を加速させるのではないかと、不安をあらわにしました。