ムラサキウニの大量発生による「磯焼け」が海洋生物の多様性に影響… 地元漁師やボランティアダイバーによる駆除の成果は? 鳥取県
ムラサキウニが大量発生することで海藻などが食べつくされてしまう磯焼け。鳥取県では、地元の漁師やボランティアダイバーが駆除を進めてきましたが、成果はあったのでしょうかー。
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海藻が茂り、魚や貝の住処となる「藻場」。近年ムラサキウニが大量発生し、藻場の海藻を食べつくす「磯焼け」が問題となっています。
鳥取県栽培漁業センター 武坂 亮さん
「ムラサキウニがこのまま増え続けてしまうと海藻が減ってしまいます。藻場がなくなると生物の多様性が失われることもあります」
磯焼けが起こると、ほかに海藻を餌にしている貝類や海藻をすみかにしている魚の産卵場所がなくなり貝や魚の数は減少、海の豊かさは失われてしまいます。
そんな状況を変えるため、鳥取県では2022年から地元の漁師やボランティアダイバーが一緒になってムラサキウニの集中駆除を進めてきました。駆除は、バールを持って海に潜りウニを一つずつ割っていく地道な作業です。特定のエリアを決めてのムラサキウニを駆除に約2年間取り組んできました。そして5月、鳥取県は駆除の成果を調査しました。調査した鳥取県栽培漁業センターの武坂さんは…。
鳥取県栽培漁業センター 武坂亮さん
「ウニというのは、基本的に日中は岩の下に隠れている生き物なので一見いないようなところでも岩をめくるとたくさんのウニがいます。ですけども、駆除していないところだと岩の上とか見えちゃうところにいたりするので、駆除の成果は出ていると思います」
ウニの数は減少の兆し。さらにこんな良い傾向もー。
鳥取県栽培漁業センター武坂亮さん
「例えば、ワカメは1年生の海藻なのでウニ駆除をしてから生えてきた草体だということがわかります。こういったワカメがあるということは藻場が増えている。ウニ駆除の成果によって生えてきたんじゃないかなと思います。小型海藻という直接見て気づくくらいの小さな海藻とかがたくさん見えているので、そういったものを食べにサザエやアワビが増えるかなと思っています」
地元漁師やボランティアダイバーが一丸となって取り組んだムラサキウニの駆除。広い海での小さな活動かもしれませんが、豊かな海の再生に向けて2年間の成果が見られました。今後、鳥取県は効率的な集中駆除方法をまとめてマニュアル化し、ウニの駆除を進めていくとしています。