2025年には認知症患者が472万人に上る推計も 年々増える認知症患者のサポートに新たなタブレットを開発 無くなった鍵を見つけてくれる機能などを搭載 一方で高齢者の使用に関して課題も
2025年には、全国で472万人に上ると推計される認知症患者。年々増える患者をIT技術でサポートしようと鳥取市の企業が新たなタブレットを開発しました。専門家も期待するその機能とはー。
7月19日にお披露目されたこちらのタブレット。文字が大きく、見やすいデザインが特徴のこのタブレットは、認知症患者に向けて開発されました。開発したのは鳥取市の電機メーカー。その機能はセンサーを付けることで、鍵などの失くしがちな持ち物を探せたり、地図アプリと連動し、すぐに自宅への経路を示したりできます。
認知症患者 藤田和子さん
「いざものを探そうとするときに夫と二人で暮らしているので、一緒に探す相手はいますが、一人の時はこれを頼りにすることもできるのかなと」
厚労省は認知症の患者について、2025年には全国で約472万人に上ると発表。2040年には584万人、これは高齢者の約15パーセント6.7人に1人の割合です。
そこで今回のタブレット開発で重要視したのは、いかに認知症患者の生活に寄り添えるか。実際に患者から生活で支えてほしい内容を聞き取り、約1年かけて開発。
~ミーティングの様子~
「その人の薬を飲むタイミングは、朝・夜などいろいろなパターンがあります」
今後、薬の管理ができる機能などを増やしていく予定です。地方の電機メーカーが取り組む認知症患者のサポート。会社のノウハウと患者の課題解決の方法がかみ合ったことが開発のきっかけでした。
株式会社LIMNO 木村裕一 社長
「認知症の方にお困りごとを聞いたら、私たちのタブレットでほぼすべて解決できると分かったので、まずは認知症タブレットのソリューション開発に注力しています」
また、鳥取大学医学部で長年認知症を研究する浦上克哉教授は、こうしたIT技術の活用でサポートの幅が広がると期待を寄せます。
鳥取大学医学部 浦上克哉 教授
「特に認知症の方の見守りに関して、IT技術を活用して生活を支援することは非常に重要で大事な取り組み」
ただ、その一方で使用する人の多くは高齢者ということでこんな課題もありました。
認知症患者 藤田和子さん
「使いこなすまで時間かかるし、そこでギブアップする患者もいるかもしれないので、一緒にできる根気よくサポートしてくれる人が必要だと思います」
鳥取大学医学部 浦上克哉 教授
「(症状には)個別性もあるので、どこまで改善できるか対応できるものにしていくかはカギだと思います」
認知症患者のサポート、その新たな一手となるのか。メーカーは今後、タブレットを実際に患者に配布し、実証実験を行う予定です。