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一度は“認定取り消し”の可能性も 山陰で日本遺産となっている「三朝と津和野」 定期的に行われている見直し制度でランクアップ認定 その評価のポイントと今後の課題とは?

2025年2月18日 18:39
一度は“認定取り消し”の可能性も 山陰で日本遺産となっている「三朝と津和野」 定期的に行われている見直し制度でランクアップ認定 その評価のポイントと今後の課題とは?

気になる話題を取り上げる「読み解く」のコーナー、今回のテーマは「日本遺産」です。

鳥取県三朝町と島根県津和野町が、「ランクアップ認定」ということで、改めて山陰の日本遺産について振り返ります。

まずは、山陰の認定地域です。日本遺産は「ストーリー」を認定するので、いくつもの自治体にまたがるケースも多くあります。

■ 鳥取県の日本遺産

鳥取県の日本遺産はー。

・三徳山と三朝温泉(三朝)
・大山牛馬市(大山、伯耆、江府、米子)
・麒麟獅子など(鳥取、岩美、若桜、智頭、八頭、兵庫県香美町、新温泉町)

以上の3か所です。

■ 島根県の日本遺産

島根県の日本遺産はー。

・津和野百景図(津和野)
・たたら製鉄など(雲南・安来・奥出雲)
・神話のふるさと(出雲)
・外ノ浦など(浜田)
・石見神楽など(浜田・益田・大田・江津・川本 美郷・邑南・津和野・吉賀)
・中世残る街並みなど(益田)
・火山が作る自然(大田)

以上の7か所です。

山陰両県10か所の中で、日本遺産の第1弾で認定されたのが、鳥取県三朝町と島根県津和野町。しかし、これまでには認定が危ぶまれる時期もありました。

■ 三朝&津和野 認定の経緯

日本遺産のランクは、現在、4段階が設けられています。

・特別重点支援地域(全国で1か所)
・重点支援地域
・認定地域
・条件付き認定地域

三朝と津和野は、2015年に第1弾として認定。その後、定期的に見直す制度が必要として、2021年「再審査」の対象となり、取り組みが不十分として「条件付き認定」となりました。

次に審査の対象となったのは2024年。新しい候補地と混ぜて採点して、上位ならば認定、下位ならば認定取り消しという、いわば“入れ替え戦”の対象にー。

そして、2025年2月に発表された審査結果では、見事勝ち抜いて、三朝・津和野ともに「認定」となっただけなく、ほかの地域のモデルとなるべき「重点支援地域」になりました。

評価のポイントの一つが「地元での認知度や取り組み」。例えば、三朝町のケースでは、小学生が動画を作り、町をPRしています。

■ 地元一丸で盛り上げる「日本遺産」

三朝小学校5年生が作ったCM動画「温泉戦隊三朝レンジャー」。実際に三朝温泉に行って効能などを学んだあと企画や台本、編集まで自分たちで行いました。

児童
「三朝町の日本遺産は、こんなにすごいんだぞ!って感じてほしくて、もっといろんな外国人や、日本各地から人がたくさん集まって、人気の観光スポットになってほしいです」

CMは、鳥取県が開催するコンテストでも高く評価され、奨励賞を受賞。この動画の視聴を案内するパンフレットも作成し、三朝町に寄贈しました。

三朝町 松浦弘幸 町長
「シンプルでわかりやすいなと思ってCMを見ました。色んなことを学ぶことによって、ふるさと・三朝をいつまでも心に残していただいて、大きくなった時に三朝町を元気な町にしてもらうという期待を持ちたいと思います」

三朝町では、今後このパンフレットや動画を町のPRに活用していくということです。

「重点支援地域」への認定が喜ばしい一方で、今後の課題も指摘されました。

三朝町の場合
・三朝温泉の来訪者を、やや離れている三徳山に誘導する仕掛け
・デジタル化、HPでのインバウンド向け対応の遅れ

津和野町の場合
・ツアーガイドなどの層
・事業継続のためにも観光客からの収益増加

「日本遺産」を観光資源として、より一層磨き上げていくため、今後も取り組みは続きそうです。

最終更新日:2025年2月18日 18:39
    日本海テレビのニュース