80年以上の時を経てふるさとへ 旧ソ連に抑留されて現地で命を落とした日本兵の遺骨の身元が判明 遺族のもとへ 島根県
80年以上の時を経て、ふるさとへ帰ることができました。第2次世界大戦後、旧ソ連に抑留され現地で命を落とした日本兵の遺骨の身元が判明し、3月5日、島根県松江市在住の遺族のもとへ返還されました。
3月5日、遺骨となって遺族のもとへ帰ってきたのは、島根県奥出雲町から出征した杠(ゆずりは)源一さんです。
杠源一さんのおい 良智さん
「心残りというか、お墓がありますけども、そのなかに遺骨がないのは源一だけなのでほっとしたという感じです」
杠さんは1939年、20歳で旧日本軍に入隊し、翌年、今の中国東北部にあたる旧満州へ。終戦直後、侵攻してきた旧ソ連軍によってシベリアに抑留され、そのまま28歳で病死しました。約57万5000人の抑留者たちは、強制労働など過酷な毎日を強いられ、約5万5000人が亡くなったとされています。
杠源一さんのおい 良智 さん
「その収容所で亡くなったのを確認したということで、当時は何も持って帰れなかったので、髪の毛を持って帰った。それをお墓に埋めた」
そんななか2018年にロシアの埋葬地で収容された遺骨が、去年、DNA鑑定によって源一さんのものであると判明。ふるさとへ帰ることになったのです。
杠源一さんのおい 良智 さん
「ふるさとで穏やかに眠ってほしいなと思っております」
杠さんの遺骨が、おいの良智さんに引き渡されました。出征してから実に86年ぶりのことでした。
杠源一さんのおい 良智 さん
「会ったことのない親戚ですけども、涙が出てまいりました。戦争の愚かさ・悲惨さ平和の尊さを次世代に伝えていけたらと思っています」
DNA鑑定によって、島根県の抑留者の遺骨が遺族へ戻されたのは4年ぶりで21例目になるといいます。