「木の上の秘密基地」 東京大学にも展示 ツリーハウスビルダー 作品に込められた思い 青森県八戸市
特集は八戸市出身のツリーハウスビルダーです。
「木の上の秘密基地」の魅力と作品に込められた思いに迫りました。
東京大学本郷キャンパス。
ここにツリーハウス「再生の樹」が期間限定で展示されています。
東京大学150周年の記念事業の一環で設置された「再生の樹」は、県産のクリの木や東日本大震災による津波で海水をかぶって廃材となった鉄板などが使われ復興への願いが込められています。
階段を登っていくといすが二つ。そしてウリ坊のストーブも。
窓もついていてまさに木の上の秘密基地です。
手がけたのは八戸市出身の彫刻家でツリーハウスビルダーの木村勝一さんです。
★木村勝一さん
「子どもたちや落ち込んでいる大人の人が次に新しい家を建てるんだったらもっと夢のあるものをつくろうぜとつらい思いをしながら逆噴射でもっと面白いものをつくってやるというきっかけになれば」
木村さんは八戸市にアトリエを構えツリーハウスをつくっています。
鉄のオブジェも自作しています。
★木村勝一さん
「一冊の本があったんです『ツリーハウスブック』というのがあってこれは楽しそうだなと思ってじゃあやっちゃおうと話になり男3人でトントン拍子に話が進んでつくりました男の子の隠れ家というか秘密基地20年前ですけどねやっていましたね」
幼少期から絵を描くことやものづくりが大好きだった木村さん。
八戸北高校で演劇に出会い一度は役者を志して上京しましたが、その後自分の道を見つめ直し地元八戸に帰郷。
そして2005年にアトリエ「オブジェ工場SLOW BASE」を自分で建設するとツリーハウスりづくりを始めました。
★木村勝一さん
「木でも鉄でもいろんな材料があってそれをなんとか今まで20年近くこの仕事をしていて自由に扱えるようになったんで」
「自己流」という木村さんのツリーハウスは個性あふれるものばかり。
飼っていた犬がモデルになった鉄のオブジェ「鉄犬」を眺められる「犬見庵」や冬も快適に過ごせる断熱材の入ったかまくら型のものなどこれまで全国各地に30棟近くのツリーハウスを完成させました。
ツリーハウスは通常「ホストツリー」と呼ばれる柱になる木にボルトや釘を直接打ち込みます。
しかし木が成長するとゆがみが生じ建物が壊れてしまいます。
そこで木村さんが独自に生み出したのが、木を木材や金属で挟み込みその上にデッキを組む木と共存できる工法です。
★木村勝一さん
「木と楽しく一緒に木からまわるそういう気持ちでやることによってツリーハウスが楽しくなるし少しは地球環境に優しいことをしていかないといけないかな」
今回の東京大学での展示に木村さんは…
★木村勝一さん
「あんまりにもいま頭でっかちになってますから こういうへんちくりんな物かもしれないけど 小さくてもね どんなものでもいいから 皆さんなんかこう手を動かしてね 頭使ってアイデア使って やることによってなんかヒントがあるんじゃないかなと」
「再生の樹」を依頼した東京大学の教授も木村さんの作品のパワーに惹かれる一人です。
★東京大学芸術創造連携研究機構・副機構長 田中庸介さん
「非常に力のある彫刻家美術家でいらっしゃるそういう方の非常に力強いパワーを東大にぜひ取り込むことによって皆さんのアーティスティックなパッションをかき立てたい」
木村さんは今後この「再生の樹」を去年地震で被害を受けた石川県能登地方に移設したいと考えています。
★木村勝一さん
「人を喜ばせるのが私の仕事だと思ってるんですよそれがたまたまツリーハウスという一つの人を呼ぶ装置みたいになったんですけどどんな小さなものでも大きいものでもとにかく人を喜ばせるものができたらいいなと思います」
自然と人とをつなぐ架け橋となっている木村さんのツリーハウス。
子どもも大人も楽しめる秘密基地はこれからも多くの人に笑顔を届けます。