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漁獲量の減少で大衆魚「サバ」が高騰…水産王国・愛媛が養殖サバの産地化めざす

2025年3月21日 18:26
漁獲量の減少で大衆魚「サバ」が高騰…水産王国・愛媛が養殖サバの産地化めざす

手頃な価格で“大衆魚”と言われた、サバの価格が、県内でも高騰しています。その原因が“漁獲量の減少”です。そんな中、今、水産王国えひめで、日本一の産地を目指しているのがマサバの養殖です。

内子町名物の「焼きサバ」。脂の乗ったサバを1時間以上かけてゆっくり炭火で焼き上げています。

田中恵市さんは、この場所で焼きサバを提供し続けて40年のベテラン。今では、今治や新居浜などから焼きサバ目当てに、買い求めに来る人も多いといいます。

記者:
「おいし…確かに脂乗ってますね。ごはんが進みますね」
魚市 田中恵市さん:
「中国の観光客が来てそのままかじりついてそこに座って食べるんですよ」

外国人観光客の胃袋をもつかむこの焼きサバですが、今、サバの価格が高騰しているといいます。

田中さん:
「高くなってますね大方、倍近くなってるんじゃないですか。10年間で倍くらいは上がっとると思いますね」

田中さんによると10年前は、1キロあたり300円ほどだったというノルウェー産のサバの仕入れ値が、今は650円と、2倍以上に。

一方、国内産も5年前の同じ時期と比べるとおよそ1.4倍になっているとのこと。年々上がるサバの仕入れ価格に5年ほど前には焼きサバの販売価格も値上げしたといいます。

田中さん:
「昔は500円から800円。今は500円から1200円で売りよるんですけど。なんでも物価が上がるんでね今はもうサバも高級魚でね」

もう少し安く提供したいとの思いと裏腹に、サバだけでなく、下処理に欠かせない水道代も梱包資材費も高騰…現状は難しいと言います。

サバの価格が高騰している要因のひとつが漁獲量の減少。

国内で獲れるサバの漁獲量は2018年の54万トン以降、減少傾向で、おととしにはおよそ26万トンにまで激減しました。

けさ、取材班が訪れたのは宇和島市の県水産研究センター。巨大水槽をのぞいてみると…

いました!先月誕生したばかり。完全養殖で育てられているマサバの稚魚です。

体長およそ9センチ、重さは6グラムあまりで、宇和海で養殖するため、きょうはおよそ5000尾が愛南町の養殖業者へ引き渡されました。

県水産研究センターはマサバの本格的な養殖技術の確立を目指し、今年度から5か年計画で稚魚の生産や沖合いでの試験養殖を進めています。

全国的に漁獲量の減少が続く天然のマサバ。

これに対し完全養殖のマサバは、資源保護に繋がるほか、天然と比べて脂身が多く、アニサキスのリスクが少ないなどのメリットがあります。

稚魚の出荷は去年の6月に次いで2回目で、去年に比べ3か月早く出荷したのにはある狙いが…

県水産研究センター 渡邉昭生センター長:
「最終的には、マサバが周年、安定的に生産できる体制。これを構築したいと思っています。その第一弾として今回早い時期の採卵に取り組んでいます」

去年6月の出荷分は、今年12月頃に養殖マサバとして販売される予定ですが、稚魚の引き渡し時期を変えることで、時期をずらして販売することが可能になると考えています。

愛南町の養殖業者
「700グラムから1キロぐらいに育てていきたいので、なるべく早く大きくしたい。全国的にもマサバの価値も上がってきていると思うので、それを養殖で安心して食べられる魚を育てたい」

県は今後、時期をずらして出荷した養殖マサバの成長具合や生存率を継続して調べることにしています。

最終更新日:2025年3月21日 19:41
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