「サポウイルス」で集団食中毒 腹痛やおう吐も…感染経路、対策法は? ノロウイルスに似た症状
和歌山市のホテルのレストランで発生した集団食中毒。客の便からは「サポウイルス」が検出されました。腹痛やおう吐などの症状を引き起こすという「サポウイルス」。どう対策すべきなのでしょうか。
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いま、増えているのが…
感染性胃腸炎患者
「おなかがぎゅって握られているような」
「感染性胃腸炎」の患者です。今月9日までの1週間に報告されたノロなどの「感染性胃腸炎」の患者数は、1医療機関当たり11.38人。同じ時期で比べると過去10年で最多となっています。寒暖差による免疫力の低下などから感染が拡大しているという「感染性胃腸炎」。
そうした中、和歌山市の保健所は20日、市内のホテルのレストランで食事をした客らが食中毒を発症したと発表しました。腹痛や下痢、おう吐などを訴えた客19人のうち、11人の便から検出されたのは、「サポウイルス」です。
年間を通して感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一つである「サポウイルス」。
「サポウイルス」に汚染されたカキなどの二枚貝を生や十分に加熱しないで食べることなどで感染しますが、和歌山市の保健所によると、レストランで提供された食事の中には、サポウイルスが発生する食材は含まれていなかったといいます。
一方で、従業員の1人の便からもサポウイルスが検出されていて、その遺伝子が客から検出されたウイルスのものと一致していることから、保健所は従業員から感染したと判断しています。
東京都保健医療局によると、札幌で発見されたことに由来し名付けられたという「サポウイルス」。あまり聞きなじみがありませんが、専門家は…
感染制御学が専門 東邦大学・小林寅喆教授
「ノロウイルスは一般的な診療所とか病院で検査して、ノロウイルスによる感染症ということが診断つきやすい。サポウイルスは保健所とか衛生研究所とかに持っていかないと、サポウイルスか診断ができない。病院でノロウイルスの検査をしたときノロウイルスではなかったケースでは、サポウイルスとかその他の感染性胃腸炎のウイルス、そういうものによる食中毒ということも考えられる」
ノロウイルスと非常に似ているというサポウイルスの症状は、おう吐や下痢などで、潜伏期間は12時間から48時間程度です。
感染経路となる食材は、加熱が不十分なカキなどの二枚貝や、それにより汚染されたまな板で調理した食べ物など。
また、感染した人が扱った食品を食べてうつったり、感染者のおう吐物などを処理した際や、そうとは知らず感染者が使用後のトイレなどでうつったりすることも。
東邦大学・小林寅喆教授
「ウイルスを出している方が公共の場のトイレを利用して、排せつ行為した場合にウイルスが外に出ていくので、それによって周りがウイルスによって汚染されて、次に不特定多数の人が利用することで、手にウイルスがくっついて手から口に入ってきて感染が成立する」
治療は症状に合わせた対症療法で、対策としてはカキなどの二枚貝は、十分に加熱。感染者のおう吐物を処理する際はマスクなどをつけ消毒しながら行うこと。そして大切なのは、公共の場所に出入りした際や食事の前の手洗いです。
サポウイルスやノロウイルスにはアルコールは有効ではないため、石けんで洗い流すことが効果的だということです。