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『海の豊かさを守ろう』廃棄していたブリのホルモンを商品化! 宿毛市の会社の挑戦【高知】

2024年7月16日 18:56
『海の豊かさを守ろう』廃棄していたブリのホルモンを商品化! 宿毛市の会社の挑戦【高知】
特集は「スイッチSDGs」です。持続可能な17の目標に向けて県内の取り組みを紹介します。
今回は「海の豊かさを守ろう」。これまで廃棄していたブリのホルモンを使って新たな商品を生み出した高知宿毛市の会社の取り組みです。

宿毛市新港にある養殖ブリの加工販売を手がける会社「勇進」です。
午前5時、スタッフが船に乗り込み到着したのは、宿毛湾にある養殖場。雄大な自然に囲まれた豊かな海域で育てられるのが「ブリ」です。この日は、大きな網を使って約300匹のブリを水揚げ。船の上で血抜き、氷締めを行い、加工場へと運び素早く処理していきました。

今回の主役はこちらのブリの身。ではなく、分けられたこの小さな部分。
1匹のブリからわずか30グラムから50グラムしか取れないという希少部位「ブリの胃袋」を加工し、今年5月から「ブリホルモン」として売り出しているんです。

傷みやすく臭みも出る胃袋ですが、魚への負担を減らすため水揚げ前にエサを与えないことが臭みを消すことにつながるそうです。水揚げから4時間以内に下処理を行い、急速冷凍することで傷みやすい胃袋を消費者の元へと届けられるようになりました。

商品の名前は「荒木さん家のブリホルモン」。会社では、ブランド「荒木さん家のブリ」として養殖ブリを売り出していて、シリーズの1つとして会社のホームページなどで販売しています。食べ方は冷凍されたものを茹で、ポン酢で和えたり、キムチの素を絡めたり。好きな味付けで楽しめるということで、コリコリした食感が特徴的です。

このブリホルモンに使われるブリの胃袋は一般の市場には出回らず、通常は廃棄されている部位です。勇進では年間600トンほどの養殖ブリを加工していますが、廃棄していたブリの胃袋は年間5トンにもなっていたそうです。

商品化したのは、勇進の社長・荒木俊慶さんの、年間5トンもの廃棄が「もったいない」という思い。そして、荒木さんの幼少期の思い出がきっかけでした。

荒木さん
「もともとマグロの胃袋を年に数回、父が持って帰ってきていて、それを煮付けた調理が僕はすごく好きで。毎日ブリを加工していく中で、ブリを同じ味付けしたらおいしいのではないかと思い試したところ、当時を思い出すぐらいの衝撃で。今市場に回っていない商品を世に出したいと思い商品化した」

手塩にかけて育てたものだからこそ、なるべく全部活かしたい。荒木さんはブリの胃袋以外のほかの部位も商品化を目指しています。

荒木さん
「このブリホルモンに関しても年間5トンぐらいを廃棄していた部分で、ほかの部位でもブリは食べられる部分が多く、次は心臓を商品として出そうと思っていたり、その次は骨を売ろうと思っていたり、本当にブリはどこを食べてもおいしいので色んなところを商品化していきたい」

実は、すでにブリの心臓=ブリハツを新たに商品化していて、全国の逸品を紹介するインターネットサイト「Makuake」で7月25日から先行販売することが決まっています。

廃棄する部分を出来るだけ少なくしようという荒木さんの取り組みは、私たちに美味しいものを届けるだけでなく海の豊かさを守ることにもつながっています。
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