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トランプ氏銃撃 専門家が指摘…“地元警察との連絡不備”があった可能性 大統領選挙への影響は

2024年7月16日 6:02
トランプ氏銃撃 専門家が指摘…“地元警察との連絡不備”があった可能性 大統領選挙への影響は

アメリカ・トランプ前大統領の暗殺未遂事件で銃撃の直前、容疑者の男に地元警察が接触していたことがわかりました。なぜ犯行を防ぐことができなかったのか─。専門家は「現場は警備がしやすかった」と分析した上で、「シークレットサービスと地元警察の連絡態勢の不備」があった可能性を指摘しました。

厳重な警備体制が敷かれているはずの前大統領の演説会場で、なぜ、銃撃事件が起きたのでしょうか─。

クルックス容疑者が発砲したのは、トランプ氏が演説していた場所から、約120メートル離れた場所にある建物の上でした。トランプ氏のすぐ後ろには、警備の狙撃手が構えていました。

「news zero」は警視庁の特殊部隊SATで活動した経験のある、伊藤鋼一氏に分析を依頼。伊藤氏は、現場は“警備がしやすい”環境だったと指摘します。

元警視庁警備部・特殊部隊SAT 伊藤鋼一氏
「大きな建物というのが、容疑者がいたこの建物くらいしかない。ここさえ押さえれば、警備はしやすい」「(建物の周りにある)こういった樹木は隠れやすいけども、警察官を複数配置しておけば把握はできるので、樹木で警備が散漫になることはないです」

シークレットサービスの警備エリア外だったという、クルックス容疑者がいた建物。伊藤氏は、地元警察が警備にあたっていたのではないかと話します。

元警視庁警備部・特殊部隊SAT 伊藤鋼一氏
「シークレットサービスが、この(トランプ氏の演説会場)周辺を警備する。地元警察はこの外周を警備するという、すみ分けをしていたと思うんですけど、地元警察とシークレットサービスとのコミュニケーションが希薄になっていたと感じる」

コミュニケーション不足を特に感じられるというのが、銃撃の直前、クルックス容疑者と地元警察が、接触していたという情報です。

元警視庁警備部・特殊部隊SAT 伊藤鋼一氏
「(警察官は)無線というのは、間違いなく持っている。警察官が(本部へ)無線連絡を怠ったのか、無線をしたんだけど、脅威を警備本部が感じなかったのか、その辺の温度差があったのか…完全なるコミュニケーション不足の警備だったと思います」

一方、トランプ氏の背後に控えていた警備の狙撃手が、事前にクルックス容疑者に気づくことができなかったことについては…

警視庁警備部・特殊部隊SAT 伊藤鋼一氏
「ここ(トランプ氏の演説会場)に観衆、支持者がいる中で、(狙撃手は)こっち(演説会場)に目が向いてしまう。ここ(容疑者がいた建物)は警備の外側になるので、地元警察にまかせている部分が…シークレットサービスの狙撃手はそう感じていたのでは。注視していれば容疑者の行動は見られた。警備の間隙(かんげき)を突かれた。非常に残念なんですけども、落ち度が警備のほうにあったんだと思います」

   ◇

11月に大統領選を控える中で起きた今回の銃撃事件。選挙戦にどのような影響があるのでしょうか。

アメリカ政治に詳しい明海大学 小谷哲男教授
「(Q.選挙戦への影響について)トランプ前大統領に対する強い支持が広まっていくのが考えられます」

大町怜央フィールドキャスター
「銃撃を受けた後に、トランプ氏が拳を突き上げた姿が印象的だと思うが?」

明海大学 小谷哲男教授
「危機に際してどれだけ力強く指導力を発揮できるかということを、アメリカ人は大統領を選ぶ際のひとつの基準にしています。トランプ氏の強いリーダーシップを感じるものだったと思います」

過去にも、暗殺未遂事件にあった大統領は、軒並み支持率があがっているといいます。

一方、次の大統領候補に、バイデン氏ではなく、副大統領のハリス氏の名前もあがっている民主党陣営。

大町フィールドキャスター
「民主党バイデン大統領には、どういった影響がありそう?」

明海大学 小谷哲男教授
「あのトランプ氏には、ハリス氏でも難しいだろうという声も広がってきている。このままバイデン氏で戦う方向性が見えてきた。強いリーダー像を見せたトランプ氏に対して、バイデン氏が良識的な安心感を与えるようなリーダーシップを示すことで、差別化を図っていく可能性が見えてきた」

(7月15日放送『news zero』より)