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南海トラフ『巨大地震注意』呼びかけを終了 引き続き備えを【高知】

2024年8月15日 18:58
南海トラフ『巨大地震注意』呼びかけを終了 引き続き備えを【高知】
初めての南海トラフ地震臨時情報が発表されてから8月15日で1週間。気象庁は巨大地震注意の呼びかけ終了を発表しました。
巨大地震への警戒が続いたこの1週間を振り返ります。

8月8日午後、日向灘を震源とするマグニチュード7・1の地震が発生。気象庁は南海トラフ地震が起きる可能性が普段よりも高まっているとして、初めてとなる臨時情報を発表しました。もし、大規模地震が発生すると強い揺れや高い津波を生じると注意を呼びかけました。

臨時情報の発表を受けて各自治体は避難所を開設。8日夜、黒潮町では3人が避難しました。

高知市のブリコ桟橋店には、朝から防災用品を買い求める大勢の人が来店し、防災リュックや水などが品薄となりました。
高知市の量販店でも水やお茶を中心に飲料水が品薄となっていて、店では購入数に制限を設け対応しました。

発表から1週間。お盆の帰省時期と重なった高知県内では、国道上の情報掲示板に「巨大地震への注意」を呼びかける文字が。
また、沿岸部を走るごめんなはり線では徐行運転を行い、多くの便が運休して利用客に影響が出ました。

黒潮町や土佐市など県内沿岸部では、予定されていた花火大会や祭りが相次いで延期となりました。
また、黒潮町の入野港から出発するホエールウォッチングにも影響が出たといいます。大方ホエールウォッチングによりますと、臨時情報が発表されたことを受け、9日から15日までホエールウォッチングが欠航に。客からは16日以降のキャンセルの連絡もあり、欠航を含め約270人が海に出られなくなったということです。

また、県旅館ホテル生活衛生同業組合によりますと、8日に臨時情報が発表されて以降、県内の宿泊施設70か所で9456人分の宿泊キャンセルがあったことが分かりました。県内の180施設にアンケートし、13日午後3時時点での回答を公表したもので、売り上げの損失は約1億4300万円にのぼります。

この1週間、県内の自治体は避難所を開設。県によりますと最も多くの人が避難したのは8日夜で、38世帯63人が避難所で夜を明かしました。
沿岸部では避難所を利用する人が続き、14日の夜、土佐清水市の中央公民館では帰省客など2世帯5人が利用していました。

そして、15日午後5時、気象庁からの報告を受けた松村祥史防災担当大臣は、巨大地震注意の発表から1週間がたち、地震活動や地殻変動に特段の変化が観測されないとして呼びかけを終了すると発表しました。
一方、大規模地震の発生の可能性がなくなるわけではないとして、日頃の備えを引き続き実施し大地震に備えてほしいと呼びかけました。

これを受けて県は午後5時に災害対策本部を解散しました。濵田知事は南海トラフ地震の発生確率が30年以内に70~80%と切迫した状況に変わりはないとした上で、「引き続き、住宅の耐震化や家具の固定、水や食料の備蓄など事前の備えを整えてほしい」と県民に向けてメッセージを発表しています。

この1週間、巨大地震への不安が続いた県内。
幸い、大きな地震は発生しませんでしたが、今後気を付けておくべきポイントを地震地質学が専門の高知大学防災推進センターの岡村眞客員教授に聞きました。地震の発生から1週間がたち臨時情報で南海トラフ巨大地震への注意の呼びかけを終了したことについて岡村さんは「切迫した状況に変わりはない」と話します。

今回の対応や備えは次の南海トラフ地震に確実に生かせるものです。
いつ起きても命を守れるよう、今のうちに準備が必要です。

尚、臨時情報の終了を受けて徐行運転などを行っていた土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線とJR四国は、16日始発から通常のダイヤに戻すということです。
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