伝統の「男木みそ」復活へ 男木島の食文化を未来につなぐ
高松市の男木島に伝わる「男木みそ」は、高齢化で造り手が減り、「食の絶滅危惧種」とも言われています。こうした中、貴重な食文化を未来に残そうと、新たな取り組みが始まりました。
「香りがしてくる。ふわっと。」
「みそがねたぞ!と言ってくれる。においがするから。」
高松市の沖合に浮かぶ男木島。古くから、それぞれの家庭で、1年分のみそを造ってきました。麦を炊いて麹で発酵させ、ゆでた大豆を混ぜて作る「男木みそ」です。
麦が発酵することを、島では「みそがねた」と言い、完成を楽しみにしていたといいます。
自宅でみそを作る畠中信子さん。
畠中さん「発酵具合によって味が変わってくるから。触って熱があるなとか、今まだ冷たいけど熱くなると熱をもってくる。」
作り方は家ごとに受け継がれ、多い時には200世帯ほどで造られていましたが、高齢化が進み、今では5世帯ほどに減りました。
畠中さん「男木みそを造る人がいなくなってしまう。せっかく美味しいおみそやのにもったいない。」
男木みそに魅せられて
そんな「男木みそ」に魅了された人がいます。
「こんにちわ!おかえり何してんの?待ってたのに。」
東京から移住してきた石部香織さん。畠中さんのみそ造りを見て、自分も始めました。
Q.畠中さんが造るみそは?
石部さん「コクがあって、優しい感じ。」
畠中さん「ちょこちょこっとずつ作ってるわけ?」
石部さん「うまく行ってる?うまくいったり、いかなかったり。」
畠中さん「私が造らなくなったら頼むな。」
5年後
あれから5年。石部さんは新たな挑戦に乗り出しました。
石部さん「ここがみそを寝かせる部屋。」
島にみそ小屋を作り、男木島を活性化させるNPOのメンバーと共に、みそを造ります。
今月、麦の仕込みが終わり、みそは完成に近づいていました。気になるのは、味のカギを握る「麦麹」の出来栄え。
石部さん「表面と中と両方菌糸がまわっている感じがあるので、おそらく上手くいっているのかなと思います。」
NPO男木島生活研究所 福井大和理事長「今までで一番きれいな入り方してる。」
石部さん「これめちゃきれい」
麦の発酵は上手くいっていました。これを大豆と混ぜ合わせれば出来上がります。
2日前に作った試作品では。
石部さん「まだちょっとみそではない。」
半年くらい寝かせると、美味しいみそになるそうです。
そんな「男木みそ」は県外からも注目され、パッケージデザインなどを手掛ける東京の企業が缶詰を作り、来年1月、東京のギャラリーで紹介する予定です。
石部さん「(男木味噌は)島の人達とのコミュニケーションを取る上での大事な象徴。これからも秋になったら男木みそを仕込むのが習慣として楽しくやっていけると良いなと思います。」
島の食文化、男木みそを復活させ、未来へとつなぐ取り組みは、今後も続きます。