【リニア】静岡県専門部会が“ボーリング調査”を容認
13日、リニア新幹線の問題を協議する静岡県の専門部会が開かれました
JR東海が行う山梨県境から静岡県内にかけてのボーリング調査について、これまで実施に難色を示していた専門部会ですが、13日の会議で一転、容認しました。
工事区間の地質や地下水について調べるため、JR東海が実施している南アルプストンネル工事の”ボーリング調査”。大井川流域市町が早期実施を求めるなか、川勝前知事は「水の流出や環境に影響を与える懸念がある」として、一貫して県境300メートル手前からの調査を認めない考えを示していました。
(2024年2月28日放送・川勝 前知事)
「(流域市町の)総意と言われているが、1つ1つ確かめる必要がある」「どのくらい水が出るかわからないので、監視体制は明確にならないといけない」
2023年10月から「機械のメンテナンス」を理由に調査をストップしていたJR東海ですが、先日 丹羽社長が「5月20日から山梨県内のボーリング調査を再開する」と発表。川勝知事の”電撃辞任”や、島田市の染谷市長から、静岡県が設置する専門部会の”廃止論”が飛び出すなど、専門部会の開催に注目が集まっていました。
そうした中 開かれた13日の専門部会。会議では「ボーリング調査」について議論が交わされ、冒頭で森下部会長がボーリング調査の実施状況を確認したあと、JR東海が「これまでの先進坑掘削による湧水量などの考察」や「今後の調査におけるリスク管理」について説明しました。
(JR東海の担当者)
「先進坑の掘削時も湧水は一部が湿る程度にとどまりまして、高速長尺先進ボーリングと同様に極めて少ないことを確認」「山梨・静岡県境を越えて静岡県内でも調査を実施することで地質や地下水にかかる不確実性の低減を図るとともにリスク管理やリスク対策を確実に行うことで流域のみなさまの安心につなげたい」
(県専門部会 森下 祐一 部会長)
「専門部会としてJR東海が計画している高速長尺先進ボーリングは提示された湧水管理やモニタリングが確実に行われることで、一定のリスク管理がなされると技術的な観点から確認ができた」
(森 副知事)
「科学的工学的観点からリスク管理ができると結論されたと理解している」
JR東海の説明をうけた専門部会は「科学的な観点からリスク管理ができている」としてこれまで難色を示していたボーリング調査の実施を容認。静岡県でリニア問題を担当する森副知事も容認に前向きな姿勢を示したうえで「大井川利水関係協議会の意見を尊重する」と話しました。
川勝前知事の退任後、初めて開かれた専門部会。
これまでの主張から一転、”ボーリング調査の容認”に記者から”知事退任”との関連を問われると…。
(記者)
Q.「(川勝知事の)辞職の影響はあったのでしょうか?」
(県専門部会 森下 祐一 部会長)
「全くないです。川勝知事から専門部会になにか注文が来たり、こちらから何か投げかけたりということは専門部会が始まってから一度もない」
”知事の辞任は関係ない”と否定しました。一方、森副知事は「速やかに利水関係協議会などの意向を確認したい」と話しました。
(森副知事)
「大井川の利水協に合意を得ることは当然必要。生物多様性(専門部会)の先生の意見を聞いたうえで結論を出す」「結論を出すとなれば私というより次の知事がしっかり判断する」
川勝前知事の在籍時は議論に大きな進展が見られなかったボーリング調査。専門部会の”お墨付き”を得たことで、今後 着工に向けた議論が大きく前進することになりそうです。