高齢化進み「多死社会」に いま火葬場が大混雑 1週間待ちのケースも(静岡)
少子高齢化により亡くなる人の数が増加する中、県内でもこの冬、火葬場がひっ迫しました。一時は“1週間待ち”になる事態も…「多死社会」といわれる中自治体は対応を迫られています。
少子高齢化により亡くなる人の数が急増する「多死社会」を迎える日本。国の人口統計によると、団塊の世代が90歳前後になる2040年ごろまで、亡くなる人の数は増え続ける見込みです。
こうした中、浜松市で起きた事態が…
(西尾 拓哉 記者)
「市街地にあるこちらの浜松斎場は、特に希望が集中する施設ですが、この冬、亡くなってからすぐに火葬できない状態が続いたといいます」
市内の斎場では、1月中旬から下旬にかけ火葬場がひっ迫。通常は亡くなってからおよそ2日後に行う火葬が“、1週間待ち”となる場合もあったといいます。市の担当者にその理由をたずねると…
(浜松市市民生活課 大城秀寛 課長)
「1日に亡くなる方が、私たちの予想を上回るくらいのたくさんの方が約1週間くらいですが集中したことがあって、本当に驚きました。初めてのことですね。」
Q.想定を上回っていた?「そうですね。その時期は予想を超えていました。」
こちらは年間の火葬件数の推移です。2019年度は8660件でしたが、その後増え続け、2023年度は9849件に…ここ5年で「1200件近く」増えています。
火葬場のひっ迫をうけ、浜松斎場は、1月下旬から急きょ1日に火葬できる件数を「18件」から「21件」に増やしました。ただ、高齢化に伴い昨年度およそ9800件だった市内の火葬件数は、2040年度に1万900件ほどまで増える見込みで、市は3年後までに7か所ある斎場を再整備し、1日に火葬できる件数を増やす方針です。
(浜松市市民生活課 大城秀寛 課長)
「来年度も同じようなことが起こらないとは限らないので、受け入れ可能数の増加などを施設の管理・運営している事業者と調整していきたいと思います」
“火葬待ち”は全国的な課題となっています。業界団体が全国の火葬場などを対象に実施したアンケートでは、葬儀や火葬を前に遺体を安置したことが「ある」と答えた施設のうち、44.1パーセントが「火葬の順番待ちが理由」と回答しました。
一方、被災したことで対応を迫られた自治体も。こちらは、現在も利用できない状況が続く、熱海市唯一の火葬場。
(熱海市市民生活課 末丸大介 市民室長)
「8月30日の発災当日は、裏から土砂が流れ込みまして、こちら跡が見えると思うんですけど、ここまでいっぱい泥水がたまっているような状況になっていました」
熱海市の火葬場は2024年8月、台風10号に伴う大雨の影響で裏山が崩れ、大量の土砂が流れ込みました。市は、2024年11月から復旧作業に取り掛かりましたが、施設内の斎場などにも泥水を含む土砂がたまるなど、より深刻な被害を受けていたことが明らかに…
(熱海市市民生活課 市民室調整監(施設再生担当)森野 静さん)
「こちらの窓の方から大量の土砂が流れ込んで、こちらの方に回って火葬炉の中の方にまで土砂が入ったという状況です。ほとんど全面改修に近いというような内容で改修を予定しております」
熱海市の場合、2019年度の火葬件数はおよそ700件でしたが、毎年30件ほど増え、2023年度は838件に増加。こうした中、土砂崩れで被災し使えなくなりました。
火葬業務は近隣市町の施設で対応してもらっていますが“、火葬待ち”のリスクが高まる中、市は来年度(2025年度)中に火葬場を再開させたい考えです。
(熱海市市民生活課 末丸大介 市民室長)
「75歳以上の数はは増える傾向にありますので、それに伴ってお亡くなりになられる方の数も増えていくのかなっていうふうに認識はしています。1回当たりの火葬時間を短縮することによって、1日当たりの火葬件数を増やすなどの工夫が考えられるかなと思っておりますけれども、いずれにしても、今回の改修のタイミングでいろいろ検討したいと思う。」
高齢化による「多死社会」を迎え“火葬待ち”が全国的な課題となる中、今後、県内でも対応を迫られる自治体が増えそうです。