“闇バイトのリクルーター”に接触!平然と「ゴリゴリに詐欺ですけど」その手口と“罪の意識”
闇バイトによる強盗や詐欺事件。
悪質かつ大胆な手口が世間を震撼させています。
闇バイトを募集するリクルーターの男、そして過去に逮捕されたことがある元実行役の男性がSTVの取材に応じ、犯罪の実態を語りました。
(闇バイト 元実行役)「5人くらい刑事さんが来て、逮捕状を見せられて手錠をかけられて、そのまま留置所に送られた」
こう話すのは4年前、闇バイトを通じて犯罪に手を染めた元実行役の男性です。
(闇バイト 元実行役)「自分がやっていたのは、一般的に言う“受け出し子”というもので、自分は10件くらいやって総額で800万くらいは引き出していた」
男性は、高齢者などをターゲットに現金をだまし取る「受け子」と「出し子」の役割を担っていました。
関東方面で初めて犯行に及びましたが、わずか2か月後に詐欺や窃盗の疑いで逮捕されました。
(闇バイト 元実行役)「借金の返済とか生活のこともあったので、X(旧ツイッター)で高額バイトで検索した。闇バイトをやっているときに、捕まるだろうと覚悟していた。でもそれが2か月だったので早かったなと」
多額の借金があり、目先の金に目がくらんでしまったという男性。
最初は罪悪感があったといいますが…
(闇バイト 元実行役)「何回も繰り返していくうちにどんどん罪の意識も薄くなっていく。実際キャッシュカードでお金をバーッて100~200万円とった時にその喜びが強くて。本当に遊び感覚でできてしまうというか。けっこう刺激的でもある。特に若い子だとスリルを楽しんでしまうパターンもある」
「捕まるリスクない」豪語“リクルーター”が語る実態
こうした若者による闇バイト事件は後を絶ちません。
2024年10月、札幌市豊平区の住宅で男性が手足を縛られ、現金3万円を奪われる強盗事件が発生しました。
実行役として逮捕・起訴されたのが、鈴木陸被告(25)。
闇バイトに応募し、3つの事件に関与したとされる鈴木被告は「大きく勝負して借金をリセットしたかった」と供述しています。
私たちは闇バイトの実態を探るため、SNSで見つけた高額案件を募集するリクルーターに接触しました。
(闇バイト リクルーター)「もしもしお疲れ様です」
丁寧な口調で話す男は、闇バイトの説明を始めました。
(闇バイト リクルーター)「これ最近とったうちの案件で、1月からマレーシアの案件があって。1ヶ月いたら500万くらい持って帰れるかな」
(記者)「どんな仕事内容なんですかね?」
(闇バイト リクルーター)「簡単に言ったら詐欺で、ゴリゴリに詐欺なんですけど、仮想通貨に関する詐欺なんですよ。もう振り込ませるだけ、コインを買わせて一気に(現金を)抜いちゃう感じ。資産安全に守れますよって言って、例えば1億円持ってるやつなら1億円入れさせて抜いちゃうみたいな。うちらはとりあえず詐欺をバンバンするだけ、1日7~8時間」
男が話すのは、明らかに犯罪行為に加担する内容です。
(記者)「海外にいれば捕まらないものなんですかね?」
(闇バイト リクルーター)「マレーシアは警察に金を渡せば見逃してくれる、500万円とか。だから100%安全って言える、罪をかぶってくれるやつはこっちで用意してるんで」
自信満々に捕まるリスクがないと言い切る男。
さらに、強盗は募集しないのか聞いてみるとー?
(闇バイト リクルーター)「強盗は100%捕まる。やるやつは結構バカ。大体1回強盗したら捕まるので、頭のネジが外れたりとか、何もできないやつで不良を使ったりしますね。先がないやつ」
(記者)「実は札幌テレビ放送の記者で、正直な心境をお聞きしてもいいですか?」
(闇バイト リクルーター)「いいっすよ、全然」
STVの記者だと明かしたところ、男は平然と取材に応じました。
(記者)「どんな特徴の犯人が捕まったか?」
(闇バイト リクルーター)「やっぱりお金に切羽詰まっている若い子が多い。世間一般の人たちが思い浮かべる人間像と、ほぼ一致するんじゃないかな。柄が悪くていったら不良みたいな、普通の会社では仕事できない子が多い。受け出しのほうは主婦とか学生とか」
学生や主婦までも闇バイトに手を染めているといいます。
(記者)「闇バイトを募集する心境は?たとえば、被害者の人の気持ちとか罪悪感はありますか?」
(闇バイト リクルーター)「みんな口をそろえて言うと思うんですけど、お金のためにやっているので、そこに負い目はないかな。そこが正直な心境かな」
(記者)「詐欺で捕まるリスクはある?ないって言いましたけど」
質問の途中で電話は切れ、連絡も途絶えました。
特殊詐欺や強盗、さらにサケの密漁までー
「手早く稼げる」をうたい文句に…
闇バイトの犯罪は多岐にわたっています。
なぜ、このような事件が相次いでいるのでしょうか?
(犯罪ジャーナリスト 石原行雄さん)「暴力団が弱体化しているからこそ、闇バイトシステムが全盛になっているという言い方もできる。(暴力団の)規模が縮小しているのでアウトソーシング(外部委託)せざるを得ない。それで半グレに、そして下請けに仕事を移して、半グレはSNSで実行役を募る。秘匿性アプリへの規制も全く追いついていない状況。これだけ条件が揃ってしまうと、なかなか闇バイト犯罪がなくなるというのは難しい状況」
闇バイトで逮捕された元実行役の男性です。
懲役4年の実刑判決を受けましたが、改心させたのは面会に訪れた祖母の言葉でした。
(闇バイト 元実行役)「詐欺グループに『私の家に行ってキャッシュカードを取りなさい』って言われたらあんたとったの?って言われたんです。それが本当にグサッときた。そういうこともあり得る。関係者の家に行くパターンもあると思うので」
(記者)「若者に、どういう言葉をかけたいか?」
(闇バイト 元実行役)「闇バイトは実際に大金を稼げるけど、それは一瞬で、捕まった後、何年間も自分だけじゃなく周りの人もつらい思いをする。面会のときに、おじいちゃんとおばあちゃんの涙を見たときに一番後悔した。本当に自分は大変なことをしてしまったな、心を入れ替えなきゃなと思ったので、重く考えてほしい」
自分だけでなく家族の人生をも狂わせる闇バイト。
SNS上にはいまも犯罪への魔の手が伸びています。