IT技術を灯油配達に活用 灯油の残量をパソコンで遠隔管理 ドライバー不足解消へ 北海道
冬に欠かせない灯油配達にもいまIT技術が活用されています。
その技術はドライバー不足に対応した配達の効率化だけでなく、利用者の安心感にもつながっています。
(石黒記者)「こちらのタンクのフタにはセンサーがついていて、灯油の量をデータで確認することができるんです」
フタに内蔵されているこの最新のセンサー。
タンクの中の灯油の残りの量を計測することができる「スマートオイルセンサー」です。
これまでは人がタンクまで見に行かないと灯油の量を確認することができませんでしたが、センサーを取り付けることで灯油の残りの量がパソコンに送られるため、遠隔で管理することができます。
配達のドライバー不足を解消しようと、このセンサーを活用して札幌市と石油会社・IT企業が共同で、配達効率を上げる実証実験を行っています。
利用者も安心して灯油を使うことができるといいます。
(利用者)「冬の寒い時期に灯油を切らして慌てて連絡して来てもらったってことがあったので、メモリを見ていちいちチェックしなくても大丈夫かなというところですかね」
会社ではどのように給油のタイミングを判断しているのでしょうか。
(ミナミ石油 松井秀聡主任)「雪が降った時だけ減り、降らない時は一定。これを見て僕らも店舗状況を見て、いつ給油に行くか考えて運用しています。ここの値を下回ったら給油に行きましょうという社内でのルールですね」
これまでの定期配送は、灯油の残り量は関係なく日程を決めて給油していましたが、センサーの導入で、灯油の少ない場所から優先して効率よく配達できるようになりました。
配達の回数はおよそ30%減り、人件費やガソリンの節約につながっています。
また、毎日グラフをチェックしているため、異常にもすぐ気付くことができるといいます。
(ミナミ石油 松井秀聡主任)「半分あったタンクが1日でゼロになってしまったとか、ふつうありえないような減り方をした場合は、盗難もそうですけど灯油が漏れているんじゃないかと疑って、すぐ現地に行って点検します」
実は能登半島地震でもこのセンサーが役立ちました。
石川県の住宅についているセンサーから送られてきたデータでは、震災があった1月1日だけ極端に減っていて、現地を確認するとタンクが倒れ、灯油が漏れていることが発覚。
直ぐに対処することができたということです。
(開発している企業 神大地さん)「(ドライバーの)高齢化で毎日回れる件数が減ってきている中で、今までの配送を維持できるかが難しくなっている中、インフラとして役割を守っていただけるように必要かなと思っています」
寒い北海道では冬に欠かせない灯油。
IT技術の導入は配達の効率化だけでなく利用者の安心感にもつながっています。