線路に雪山…もしや?“撮り鉄”人気スポットで列車急停止 撮るのは歓迎でも「一部のせいで…」
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橋の上でカメラを構える人たち。
北海道北部の名寄市で2017年に撮影された映像です。
そのお目当ては…?
この赤い列車!
撮影に来た人で行列ができる人気ぶりです。
雪煙を上げながら線路の除雪をする「ラッセル車」。
日本で唯一、この列車が定期運行する「宗谷線」は、鉄道写真の愛好家いわゆる“撮り鉄”の人気スポットです。
しかし、フェンスを乗り越えて線路に立ち入る危険行為がたびたび見られるなど、以前から一部の撮影者のマナー違反が問題となっていました。
こうしたなか、2025年2月1日、あるトラブルが発生します。
線路に雪山…もしや…!?
列車の前に積み上げられた雪。
手前の線路と比べても不自然な量です。
何者かが投げ込んだとみられています。
場所は宗谷線の美深駅から天塩川温泉駅の間です。
1日午後1時ごろ、ラッセル車の運転士が線路内に雪が積み上げられているのを発見し、およそ20メートル手前で緊急停止しました。
雪は高さおよそ50センチ・2メートルほどの範囲に積み上げられ、周辺にはカメラを持った撮影者が10人ほどいたといいます。
一体、だれが何のために…
「迫力」求めて…過去にもトラブル
列車が巻き上げた雪をかぶりながら写真を撮る鉄道ファン…
2017年に音威子府村で撮影された映像です。
(撮り鉄)「雪だらけですね。カメラにも雪が入った」
(記者)「危なくない?」
(撮り鉄)「全然大丈夫です。雪は被りましたけど」
迫力ある写真を求めるあまり線路に接近…
こうした迷惑行為で列車が停止するトラブルが、これまでも複数回起きていました。
さらに多くは車でこの踏み切りまでやってきますが、付近の住民にも影響が出ています。
(踏切近くの住民)「多いときで7,8台が来るときがある。除雪車が入ってこれないから、あちこち駐めないで欲しい」
鉄道ファンであり当時、音威子府村の職員でもあった横山貴志さんです。
(音威子府 横山貴志さん(当時))「本来、踏切は閉鎖になっているので入れないんですが、どうしても入ってしまうマナー違反の人がいる。撮り鉄の方でもマナーを守っている人が大半なので、一部の方のせいで全員がマナーが悪いと思われてしまうので、それは困りますよね」
迷惑行為は全国で深刻!「犯罪」になることも…
現在は道内の大学で、マチづくりについて研究している横山さん。
今回のトラブルについて、写真撮影をするために雪が持ち込まれた可能性があるとみています。
(急式キャスター)「迫力あるラッセルが撮りたかった?」
(北海道科学大学 横山貴志助教)「そうですね、おそらく積もったところを走り抜ける写真を撮りたい気持ちで、近隣ではなくおそらく道外から来た人が行った行為かと思う。雪がないと、走ってはくるが雪を跳ね飛ばすような写真がまったく撮れないので、豪快な写真が撮りたくて来た人にとっては物足りないと感じてしまうと思う。トラブルや近隣住民に迷惑がかかる行為は全国各地で起きている」
鉄道ファンによるトラブルを以前から問題視していた横山さん。
毎年、有志団体やJR北海道などと協力し、撮影マナーを守るよう呼びかけています。
(北海道科学大学 横山貴志助教)「今回もマナー違反ということで注目され、バッシングや批判が集まりやすいが、鉄道の写真がある風景は村の歴史を1ページ1ページおさめてもらう行為だと思うので、撮ること自体は大歓迎かなと思う。地域として、どうやってポジティブに列車を有効活用するかという議論が、これをきっかけに起こってくればいいなと思う」
北海道科学大学の横山先生によると、近年「撮り鉄」のトラブルが増えている背景には、デジカメの普及や技術進化によって、手軽にいい写真が撮れるようになってきたことや、LCCの登場によって全国を気軽に移動できるようになったこと、さらにSNSによって撮影場所の情報が入手しやすくなったこともあげられるのではということです。
ルール違反・マナー違反と言えるうちから一線を超えてしまうと「犯罪」に該当し、厳しい処分を受ける可能性もあります。
線路内への立ち入りは「鉄道営業法違反」に問われ、1000円以上1万円未満の科料となります。
線路内に入った結果、列車に急ブレーキをかけさせたりした場合は「列車往来危険」の罪に問われる可能性があり、罰則は2年以上の懲役です。
その他、列車を止めて運行に遅れが出たりすると、刑事だけでなく民事上の責任を問われ、高額の賠償請求をされる恐れもあります。
鉄道ファンと地域住民がともに楽しめるようにー
守るべきルールの徹底が求められます。