バス会社がシイタケを?電力会社が駅でレタスを?“意外な新規事業”に青柳記者も興味津々
企業が直面する課題を解決しようと、新規事業への参入が拡大しています。
バス会社のシイタケ栽培に電力会社の野菜作りなど、意外な異業種への挑戦が始まっていました。
女性の手の平よりも大きく傘が開いたシイタケを、大勢の人が次々ともぎ取っていきます。
(客)「素晴らしいですね。今晩さっそくいただきます」
原木シイタケの収穫体験ができるのは2024年4月6日、北海道新得町にオープンした観光農園「拓鐵キノコタン」です。
実は、この農園を運営するのは十勝管内で路線バスを運行する「北海道拓殖バス」です。
なぜ、バス会社がシイタケ栽培に乗り出したのかというとー
(北海道拓殖バス 中木基博社長)「バス事業と創造的に収益を上げていくというのが目的。バスに乗って来ていただければ旅客としての収入も見込めますし、作ったものをバスを使って運ぶということになれば貨客混載への売り上げにもなる」
さらに、もうひとつ課題を解決する重要な狙いがありました。
農園で働くこちらの男性はバス運転手歴50年です。
「運転手」の仕事は引退しましたが「第二の職場」で働き続けることができます。
(記者)「会社の取り組みをどう思いますか?」
(運転手を定年退職の男性)「定年退職後の取り組みということでやっているんですけど、成功すればいいなと思っています。仕事を今確保してくれているということですから。仕事があるだけ助かっているかな」
会社では、安心して働き続けられる職場環境をアピールすることで、運転手不足解消を目指すということです。
倶知安町ではこんな意外な取り組みもありました。
牛肉たっぷりのハンバーガーの中に敷かれていたのは、新鮮なレタスです。
(青柳記者)「肉の存在感もあるんですけど、それに負けないようなレタスのみずみずしさが感じられて、とてもおいしいです」
このレタスが作られている場所はというとー
(青柳記者)「案内していただいてよろしいですか?」
(プランツラボラトリー 林覚さん)「はい。私たちの屋内ファームに案内します。こちらです」
(青柳記者)「林さんこちら駅の裏ですけれども?」
(プランツラボラトリー 林覚さん)「はい、駅の中にセットしています」
JR倶知安駅の構内に設けられた野菜工場です。
北海道電力が、植物工場の研究・開発などを行う会社と共同で設置しました。
レタスやバジル、ミズナの3種類を栽培し、倶知安町内の高級ホテルなどに出荷。
朝食ビュッフェのサラダなどとして人気だといいます。
工場内は遮熱パネルが張られていて、エアコン1台で室温をコントロールできるほか、水を循環して使うことで節水できるなど、環境にやさしい栽培にこだわっています。
(プランツラボラトリー 林覚さん)「ストレスが非常に少ないので、野菜の味がすごくまろやかになると言っていただいています」
北電はなぜ野菜づくりに乗り出したのでしょうか。
(北海道電力事業共創推進室 幾世橋歩さん)「(ニセコは)冬場スキーシーズンが観光のピークとなりますので、その時期に地元産の野菜を提供できていないという課題がありました。通年安定的に栽培ができる植物工場、これが一つの解決策になるのではないかと考えています。電気を売っていく環境が非常に厳しくなってきておりますので、社会課題をしっかり事業機会ととらえて、引き続き新規事業を強力に推進していきたい」
人手不足の解消や新たな事業の開拓など、生き残りを見据えた異業種への挑戦は、今後ますます広がりをみせそうです。