【特集】震災13年 “こどもの防災”はいま 災害に備えこどもたちを守る備えとは 《新潟》
東日本大震災から13年。
いつ、どこで地震など災害が発生するかわからない今、子どもたちを守る備えが求められています。
災害に備えて定期的に避難訓練を行うこども園を取材しました。
■こどもの防災
0歳から6歳の子供たちが通う、新潟市の「開志上所こども園」です。
普段は子どもたちの楽しそうな声が響き渡り、元気に遊んだりクラス活動をしています。
そんな中、鳴り響いたのは・・・非常ベル。地震が起きた想定の避難訓練のベルです。
実は、このこども園では、毎月必ず1回、全ての園児を対象とした避難訓練を行っています。
年長クラスでは・・・。
非常ベルが鳴ると園児たちは先生の指示に従い、自分たちでテーブルの下に入り頭を覆って次の指示を待ちます。
(アナウンス)
「揺れが収まりました。防災巾をかり、慌てないでジャンパーを着て二階の遊戯室に避難してください。」
準備のできた子ども達は次々と遊戯室に集まり、静かに待機します。
避難完了後は、紙芝居で避難する時の“お約束ごと”を確認します。
こちらのこども園では地震だけでなく火事や水害など様々な災害を想定した避難訓練を続けています。
訓練していた園児に質問してみました。
Q)地震が起きた時はどうするのですか?
(園児)
「防災ずきんをかぶって、ジャンパーを着て、みんなで集まる。」
「テーブルの下に入って頭を守る。」
Q)避難する時のお約束ごとは?
(園児)
「走らない、もどらない、押さない、しゃべらない。」
(開志上所こども園 轡田栄理子 園長)
「何もしないで子どもたちにこの状況を伝えるのは非常に難しいです。 けれども日々の積み重ねが大事だということは私たちも感じています。 集団での私たちの施設、園ですので、お兄さんお姉さんたちを見ていいところを真似る」
「静かにしていると自分たちよりも小さな子も一生懸命に静かに先生の話を聞いてくれたりして慌てずに安心して話を聞くことを子供同士で学んでいるところが大きいと思っています」
今回取材した開志上所こども園では、月に1度訓練を行っているということです。
いざという時にどういう行動をすれば良いのかを子どもたちが理解していると保護者も安心できそうです。
園で子どもたちが災害対策を学ぶ機会ができている中、 幼い子どもがいる家庭ではどのような防災対策を行っているのでしょうか? 保護者に聞きました。
(1歳10カ月の子どもを持つ母親)
「おむつがまだ必需品なので、なるべく多めにストックしているぐらいです」
(10カ月と4歳の子どもを持つ母親)
「ベビーフードを用意してるくらいです。上の子はお米があればなんとか生き延びられるかなと思っています」
(1歳と5歳の子どもの母親)
「食べ物とおむつは最低限ストックしておかなくてはと、1月1日の地震で本当に思い知ってリュックにひとまとめにして、1階のすぐ持って行けるようなところに置いてあります。あとモバイルバッテリーになるような懐中電灯も用意しました」
■防災グッズ 備えは
いざという時のために、子供のいる家庭ではどんな備えをしておくと良いのか・・・。
市販の防災グッズをスタジオに集めてみました。
このリュックは、子供用の防災リュックで、中に14種類の防災グッズが入っています。
中身をみていきますと…。
小さいパッケージですがこれは広げるとブランケットになります。
リュックの中にたくさん入るようにコンパクトになっています。
ブランケットの大きさは、子ども用ではなく大人用です。寒い時期の避難になるとこういったものが必要になってきます。 コンパクトで、1枚羽織っただけで暖かいのが特徴です。
こちらは、ようかんです。
ようかんはカロリーが高いのでカロリー補給に有効といわれています。 この商品は1箱に5個入っていて、小さな個分けで食べられます。こうした食べ応えのあるものは、避難した子どもたちが空腹になった時にお腹の足しになりそうです。子供たちも簡単に開けられるという点もポイントです。
家庭でこうしたグッズを集めておく、それだけでも備えになるといいます。
しかし、子どもと言っても幼い赤ちゃんから自分で行動できる年齢の子供まで、幅が広いです。
子供の防災に詳しい日本保育防災協会 西畑進太郎代表理事に話を聞きました。
防災グッズ、防災リュックを1つ揃えるだけではなくて、子供のいる家庭では年齢、年次に合わせた備えが大切だということです。
食事ひとつとっても 赤ちゃんと小学生くらいの子どもでは全然違いますし、食べられるものが違ってくるためということです。
西畑さんによりますと、まず乳児のいる家庭で備えると良いのは、おむつやお尻ふき。
おむつは成長によってサイズが違ってきますので 定期的にサイズを見直しながら、おむつやおしり拭きを用意しておくとよいといいます。
またミルクを飲んでいる赤ちゃんがいる家庭ではミルクやほ乳瓶。
そして今、液体タイプもあるので、液体タイプを ストックしておくこともできます。ほ乳瓶が洗えない、消毒できないという場合でも、紙コップがあればミルクを飲めます。
そして離乳食。
アレルギーや好き嫌いのある子どももいるため、食べ慣れたもの、また食べられるものを用意しようということです。
そしてもう1つ…。
これは大人でも使えるものですが、バスタオルです。
おむつ替えの時に下に敷いたり、包んだり、子どもにかける布団としても使えます。様々な使い方ができるので便利ということです。
また、 年齢が上がって幼児から小学生ぐらいになりますと、白いご飯が毎日出てきた時に小さい子どもにも食べやすいよう子どもが好きな「のり」や「ふりかけ」、「マヨネーズ」などの調味料があると便利です。
味が変わって、食べやすくなるといいます。
おやつも、賞味期限が長めで普段から食べ慣れているもの、好きなものを用意しておくと良いということです。
そして、親と別の場所で被災した時を想定して、写真や連絡先などを用意しておくと良いということです。
言葉を話せる小学生になっても、災害時にはショックや、パニックで言葉が出なくなることもあるので、持ち物に入っていると良いそうです。
靴も足場の悪い中の避難を想定して、用意してあると安心だということです。
子供が自ら自分で伝えられないこともたくさんあると想定され、こういう情報を持っているだけで周りの大人も手助けしやすくなるということです。
さらに、幼児から小学生まで持っておくと良いのが、健康保険証や母手帳のコピーです。 被災時に家に取りに行くことができなくなる状況もあるとして、アレルギー情報なども記載しておくと良いそうです。
ただ、コピーなのであくまでも 緊急時のためと考えてということです。
東日本大震災から13年。
節目に家の備えを見直して、いざという時に備えておきたいものです。
(2024年3月11日放送 TeNYテレビ新潟「夕方ワイド新潟一番」より)