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【特集】津波にさらわれた娘がいる海へ 「体力が続く限り通いたい」 月命日に南相馬へ通う夫婦 “3.11”から13年《新潟》 

2024年3月11日 11:11
【特集】津波にさらわれた娘がいる海へ 「体力が続く限り通いたい」 月命日に南相馬へ通う夫婦 “3.11”から13年《新潟》 
東日本大震災から、丸13年が経ちました。
震災後の津波で尊い命が奪われ、いまだ多くの人の行方が分かっていません。

娘に会いたい・・・。
諦めきれない思いを抱えながら毎月、月命日に福島県の南相馬へ通う上越市の夫婦を取材しました。

■娘を津波にさらわれる

上越市に住む渡辺喜久枝さん(74)。優しくほほ笑む娘に、毎日、語りかけてきました。

【渡辺喜久枝さん】
「あともう少しだけ待っててね、もうじき行くよっていうんだけど」
「もうそんな年になっちゃったねぇ、ちいちゃん」

娘の千鶴さんは13年前、福島県で津波にさらわれまだ見つかっていません。

【渡辺喜久枝さん】
「はじめのうちは骨の1本でも上がってくれればいいと思ったけど、もうダメだよね」

■月命日に夫婦で相馬へ

喜久枝さん・・・夫の稔さんとともに毎月、訪れる場所があります。

【渡辺喜久枝さん】
「あの子が待ってると思うと、行かなくちゃと思って」

娘の千鶴さんの嫁ぎ先、福島県南相馬市です。

ここには、千鶴さんと一緒に自宅にいて津波の犠牲となった義理の母と義理の祖母も眠っています。

千鶴さん・・・子どものころから話し出すと止まらないほどおしゃべり好きでした。

■震災の半年前に南相馬へ移り被災

上越市内の病院で看護師として働いていた千鶴さん・・・。
夫の仕事の関係で震災の半年前に南相馬へ移り住みました。

13年前の3月11日。

福島では地震や津波に加え原発事故が発生するなど甚大な被害がありました。
いまだ福島県内では196人の行方が分かっていないといいます。

【渡辺喜久枝さん】
「まさか娘がそんなになっているとは思わないでしょ」

【夫の稔さん】
「ずっと東京電力、原発のところだけしか映ってこなかったから」

■震災当時を記録したノート

稔さんが震災当時から記録してきたノートです。

嫁ぎ先へ、何度 電話してもつながらず、ようやく千鶴さんの義理の父と連絡がついたのは地震から2日後の朝でした。

<(当時のメモ)義理の父>
「避難所ほか行きそうな所を見まわったが、千鶴、玉枝(義理の母)、母(義理の祖母)の3人が見当たらない」

無事でいてほしい・・・。
祈る思いで辿り着いた南相馬、目にしたのは想像を絶する光景でした。

義理の母は下水の中で、義理の祖母は土手の上で見つかりました。

「でも、千鶴だけが・・・」

車で寝泊まりしながら早朝から日が暮れるまで家の跡地や病院、遺体安置所に通いましたが手がかりはありませんでした。

【渡辺喜久枝さん】
「ただ泣いて、ちいちゃんって呼んでいるだけだよね」
「かわいそうにと思った黒い波、屋根の上からドーンと怪物みたいなの来てうちと一緒にいなくなったって、向こうの高い所に先に逃げていた人が教えてくれたの。そのとき流されたんだと思って」

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■毎月11日に相馬の海へ
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