【特集】新潟県産の「小麦」が人気? コメどころ新潟で小麦の生産が拡大 なぜなのか《新潟》
米どころ新潟で広がる小麦栽培についてです。
なぜ、いま、県産小麦なのか?県産小麦の可能性を取材しました。
JR新潟駅の駅ビル「CoCoLo新潟」に店を構える「肉まん専門店」。
18種類の個性豊かな肉まんが人気です。
商品へのこだわりを聞いてみると・・・。
もちもち食感
肉まんだらけの店・森下穂南さん
「新潟県産の小麦粉を使用してふわふわ、もちもち食感にこだわっています」
生地に使用するのは新潟県産の小麦からできた強力粉です。
以前は輸入小麦を使っていましたが、県産に変えたところ反響があったと言います。
アンケートのコメント
「こんなに皮がおいしい肉まんは初めてでした」
「皮のフワフワ・モチモチが忘れられず、再度買いにきました」
肉まんだらけの店・森下穂南さん
「(県産は)生地の密度が違う。時間が経つと、輸入(小麦)はふわふわ・もちもち食感が維持されにくく、ぱさつく。県産の小麦を使用することでそれが解消された」
鮮度がよく質の高い県産小麦・・・。
その可能性に期待する会社があります。
自社工場で挽いた小麦を卸す新潟市江南区の丸栄製粉。
いま、販売量を増やしたいと意気込んでいるのが、県産小麦です。
「もっと欲しいと要望される」
丸栄製粉・大谷勝男取締役
「いま県産の小麦粉は主にパン屋さんに卸しているが、非常に評価が高く、もっとほしいという要望をいただく。会社全体では県産小麦の取扱量は1~2%なので、なんとか二桁、10%を目指している」
国内需要の8割以上を海外からの輸入に頼っている日本ですが、ロシアのウクライナ侵攻や記録的な円安をきっかけに輸入小麦の価格が高騰。
丸栄製粉によると、原材料の小麦の買取価格は県産小麦のほうが安くなっているといいます。
丸栄製粉・大谷勝男取締役
「ロシア・ウクライナの問題など海外で大きなことが起きると、外国産に頼っていていいのか、本当に外国の麦が日本に届くのか、といった話が出る。国産の自給率を上げるという話も出る。小麦は主食なので政府もその方針」
国際情勢不安から国産小麦に注目が集まる中、質の良い県産小麦に可能性を感じている丸栄製粉。
今後、県産の取り扱いを現在の10倍・年間1000トンに増やすことで、小麦の買取に積極的な姿勢を見せ、県内生産を拡大させたいといいます。
そよ風にゆれる小麦畑。
鈴木恵一さん
「頭が重いです。ここに、すごくいっぱい実が詰まっているということなので、にんまりですね。ニンマリになりたいですね」
笑顔とともに自信をのぞかせたのは、新潟市秋葉区の農家・鈴木恵一さんです。
豊かに育つ小麦ですが・・・実はこの畑、一昨年までは田んぼだったといいます。
なぜ、小麦に挑戦したのでしょうか?
農家・鈴木さん良すぎるので、水が必要。井戸水をくみ上げてやっていたが、労力や時間がかかる。それなら水がいらない小麦にしよう」
小麦の生産にかかる作業時間はコメの3分の1。
余った時間を、他の野菜の栽培などに充てることができるようになりました。
雪に強い品種ができたことで安定生産が見込めることや、コメよりも利益になるため、小麦生産をはじめる農家が増えています。
秋葉区でも、鈴木さんに続き、新たに4つの農家が小麦生産を始めました。
農家・鈴木さん
「将来的には“米どころ新潟”との二枚看板として“小麦どころ新潟”にしたい。北海道に次ぐ高品質なものを新潟産としてブランド化して、オール新潟でやっていけたら」
始まったばかりの県産小麦。これからも広がりを見せそうです。
2024年5月24日「夕方ワイド新潟一番」放送より