【密着】カメラがとらえた逮捕の瞬間 警察vs悪質客引き 繁華街で横行する違法な「客引き行為」 《新潟》
繁華街で横行する違法な「客引き行為」。
新潟県内でも後を絶ちません。街の治安を守るため取り締まりにあたる県警の捜査員に密着…逮捕の瞬間をカメラがとらえました。
「この後はお店、決まってました?もしだったら案内所とかもやってますので」
「飲み屋、お探しでしょうか?ちなみに交渉だけでもいいんで。うち今、空きあるんで是非。お姉ちゃんのお店なんですけど」
通行人に近づき、言葉巧みに店へと誘い込む行為。「客引き」です。
ここは多くの飲食店が立ち並ぶ新潟駅周辺の繁華街。
【捜査員】
「キャバクラみたいなもんですよって言いました」
「よし、じゃあね。22時7分、現行犯逮捕します。客引きで」
悪質な客引きを取り締まる県警の捜査員に密着しました。
再開発が進むJR新潟駅。新型コロナが5類に移行し駅前の繁華街はにぎわいを取り戻しました。
一方で、問題となっているのが違法な「客引き」です。
【過去に客引きされた経験がある人は】
「お兄さん、いい子いますよって感じかな」
「しつこいなと思います。こっちは断っているので、ついてこられると、ちょっと怖い」
新潟県の条例では、キャバクラなど接待を伴う飲食店や性風俗店の客引き行為を禁止しています。また、進路に立ちふさがるなど執ような行為も禁止され、この場合、業態を問わず全ての店に適用されます。違反した場合には50万円以下の罰金となる可能性もあります。
県警は、11月末までに客引きをした疑いで9人を逮捕。ほとんどが新潟駅周辺でした。
またことし、新潟駅周辺を管轄する新潟警察署に寄せられた客引き行為をめぐる苦情や相談は、11月末時点でおよそ250件…。後を絶ちません。
こちらは新潟駅周辺に店を構える飲食店の店員…。店の売り上げにも影響が出ていると言います。
<飲食店の店員>
「うちの店の前にボーイさん、客引きの人が立っているからちょっと嫌だな」
「お客様が前、言ったのが客引きが多いからこっちに来るのもいやだと」
横行する違法な客引き行為…。取材班が新潟駅周辺を歩いてみると…。
「この後はお店決まってました?もしだったら案内所とかもやってますので」
「何をお探しなんですか?」
「決まってないですか?居酒屋ですか?」
次々と声をかけてくる「客引き」…。
「お探しは?」
「お探しの方、一軒いかがですか?」
繁華街の路地を100mほど歩く間に、声をかけてきたのは6人。中には規制の対象となるキャバクラと思われる客引きも…。
「飲み屋、お探しでしょうか?ちなみに交渉だけでもいいんで。うち今、空きあるんで是非。お姉ちゃんのお店なんですけど。時間早いんで3500円ずつで、2人で7000円ぴったりにさせていただきます」
11月某日、私服姿の県警の捜査員が夜の街へと向かいました。
悪質な客引きの取り締まり…。そして、もうひとつあることに目を光らせます。
【新潟警察署 清野純一生活安全課長】
「学校へ通いながら、客引き行為をして収入を得ている。アルバイト感覚でやっている容疑者もいました」
ことし10月には、18歳の高校生が逮捕されました。軽い気持ちで犯罪に手を染めてしまう少年…。早いうちに更生させることが求められます。
【新潟警察署 清野純一生活安全課長】
「当署は6件検挙(取材時点)していますが、その中の半分の3人が少年(20歳未満)で、低年齢化を感じています」
この日、捜査員たちは新潟駅周辺のエリアで取り締まりにあたります。しかし…。
【捜査員】
「客引き達は捕まりたくないので警戒する。”ジャブ”じゃないですけど、ちょっと反応を見てやるようなことが多々ある」
声をかけてくる客引きはいるものの、その行為は規制の対象外…。手口は年々、巧妙化し規制されない言葉で声をかけてくる客引きも増えています。
【捜査員】
「相手も捕まりたくないものですから、違反になる・ならないのギリギリのところを探ってきているような動きが見受けられます」
強い風が吹いていたこの日は人出もまばら…。それでも、捜査を始めておよそ1時間後でした。
【捜査員】
「キャバクラみたいなもんですよって言いました」
捜査員に囲まれた1人の男。
【捜査員】
「あと手かけるのもダメだからね、客引きね。しつこいよ。」
「22時7分、現行犯逮捕します。客引きで」
私服姿の捜査員に声をかけ、客引きをしたとして24歳の男が現行犯逮捕されました。
男は「女の子つけます。ウチよりかわいい女の子はいません。キャバクラみたいなものです」などと言い捜査員を勧誘した疑いです。
【捜査員】「何歳?」
【逮捕された男は】「店に迷惑かけるとあれだから、連絡だけ取っていいですか」
【捜査員】
「いや、もうできない。逮捕しているから、もうなんもできないよ。手出して。危ないの持っていると悪いから。出してほら、手出して。もう観念してくれ。もう聞いているから」
【逮捕された男】「逃げないって」
【捜査員】「逃げないのはわかるけど」
【逮捕された男】「なんでこんなにガチでされなきゃいけないの」
男はいわゆる「フリー」の客引き。特定の店の従業員ではなく、複数の店舗を紹介する形で報酬を得ていたとみられます。
【逮捕された男】「俺きょう帰れるの?」
【捜査員】「帰れない」
【逮捕された男】「帰れない?泊まる?」
【捜査員】「逮捕されているから、警察に泊まってもらう」
【逮捕された男】「こんなん(手錠)するの?嫌なんだけど。超悪い人みたいなんだけど」
【捜査員】「しょうがない、悪いことしたのは悪いことした。犯罪は犯罪なんだ」
軽い気持ちで犯罪に手を染めてしまうケースも
お金を稼ぐため、軽い気持ちで犯罪に手を染めてしまうケースも多くあります。しかし、犯罪であることに変わりはありません。
【捜査員】
「客引きをなくす。安全安心な繁華街を目指すべく、違反は警察として厳正に取り締まることをこれからも続けていきたい」
後を絶たない違法な客引き。違法な行為を減らすため、きょうもどこかで捜査員が目を光らせています。