【特集】遂に就航!「トキエア」 初便就航までのドキュメント 新地域航空会社への期待と課題 《新潟】
就航まで1週間と迫った現場の舞台裏や今後の期待を取材しました。
日の出の時刻を迎えた新潟空港・・・。
就航まで一週間に迫った1月24日、トキエアのチェックインカウンターでは、何やら準備が進められていました。
〈トキエア 鈴木紀男所長〉
「上手くいくかどうかわかりませんけど、こちらも丘珠も大丈夫なので多分飛ぶと思います」
この日は社員を客に見立てて運航の流れを確認するシミュレーションの日でした。
準備が進められる中、乗客役の社員が集まってきました。
◆シミュレーションでは乗客の目線で乗り心地も確認
去年入社した築井翼さん。
運航を管理するオペレーション室に配属されています。
今回、初めて乗客の目線を体験します。
〈トキエア 築井翼さん〉
「飛ぶのは初めてです。乗り心地を確認してきたいと思います」
そのころ、オペレーション室ではスタッフが慌ただしく行き交っていました。
グランドスタッフを監督する松本恵利香さん。
もともとは国内の航空会社でグランドスタッフとして働き、その後は海外の航空会社で監督者に。
新たな航空会社の立ち上げに携わりたいと去年、入社しました。
グランドスタッフのまとめ役・・・代わる代わる呼び止められます。
〈トキエア 社員〉
「バスの誘導員が出られないので、横付けしたいそうなんですよ…」
〈トキエア 松本恵利香さん〉
「わかりました。それは旅客PT側に、そっちで停めるよと言ってもらえれば大丈夫です」
的確に指示を出していく松本さん・・・。
〈トキエア 松本恵利香さん〉
「久しぶりなので、ミスがないように確認してます」
乗客も、荷物も、無事に丘珠へ運ぶために・・・息つく暇もありません。
バスに乗って、乗客役の社員たちが滑走路へやって来ました。
続々と飛行機に乗り込んでいきます。
〈トキエア CA〉
「お席は何列目ですか?」
〈トキエア 築井翼さん〉
「16のA」
〈トキエア CA〉
「こちらの窓側です」
〈機内アナウンス〉
「皆様、手荷物は座席の上の物入れるか、または前の座席の下にお入れください」
いよいよ、築井さんにとっても初めてのフライトです。
しかし、この日は急に吹雪に見舞われる時間も・・・。飛ぶことはできるのでしょうか。
最終的な判断は、パイロットと運行管理者との話し合いで決まります。
〈トキエア 機長〉
「きょうの午後から天気が急変する可能性がありますので。リスクは高いと思っています」
〈トキエア ディスパッチャー〉
「キャプテンとしては、新潟に帰ってくる時のウェザーのリスクが高いダイバート(目的地外着陸)の可能性があるということで。ここからの出発は今の所行かない方向で考えているということですね」
〈トキエア 機長〉
「その方がいいかなと思っています」
結局、天候を理由にフライトは断念しました。
それでも、搭乗手続きから到着後の荷物の受け取りまで、一連の流れを確認することができました。
〈トキエア 築井翼さん〉
「エンジンの音とか車体の揺れとかも感じたので。本当に飛ぶんだなという感覚になりました。実際の流れを確認できたので、このようにお客さんは乗るんだなと実感が沸いてきました」
〈トキエア 松本恵利香さん〉
「雪もあったので、かなり急な変更が多くて。それもバタバタした要因かなと思います。安全に飛ばすためにあと一週間で完璧に仕上げたいなと思います」
安心して利用してもらえるように・・・気は抜けません。
◆運行をサポートするためフランスから整備担当が
トキエアの安心安全をサポートするために、こんな人も働いています。
フランスを拠点とする航空機メーカー・ATR社のダニエルさんです。
トキエアが軌道に乗るまで新潟空港で勤務をし、整備のサポートをします。
〈ATR社 ダニエルさん〉
「安全面を考えて、この扉を全部開けることをお勧めします。必ず完全に開いていることを確認してください」
飛行機の扱いについて、スタッフへアドバイス。
パイロットとも細やかな情報交換を欠かしません。
〈ATR社 ダニエルさん〉
「新規航空会社と言えども、トキエアは経験豊富なメンバーで構成されていて、ほとんどが日本の大手航空会社で働いていた経験があります。将来の日本の地域航空会社のビジネスモデルいなることは間違いありません」
航空業界に詳しい人に、今後の課題や期待を聞いてみました。
〈坂部秀治さん〉
「“ファーストフライト・ラストフライトハンター”として、新規就航する飛行機や引退する飛行機を追っています」
トラベルライターとして活動する坂部秀治さん。
年間100フライト以上、3日に1回は乗るほどの飛行機好きです。
当初、新潟を拠点とした航空会社ができることに驚いたと言います。
〈坂部秀治さん〉
「正直なところ、新潟に、そして独立系の航空会社、という驚きが一番大きかったです。人口的にも産業的にも、感覚的にちょっと弱いのかなというのが正直ありまして。他社の力を借りない、完全に独立した航空会社を作るのが非常に難しいんじゃないかなと」
マニュアルも1から作らなければならないため、就航が度々延期になったことも、安全性を保障するためには仕方なかったと話します。
一方、天候が不安定となる冬の時期に定刻通りに運航できるのか・・・。
定時制の確保を課題に挙げています。
〈坂部秀治さん〉
「トキエアって結局新しい航空会社なので、知名度も含めて地域に信頼されることが一番大きなことだと思う。いずれにしても、安定したオペレーションで地域の信頼を獲得して、着実に足跡を残していくのがいいのかなと考えています」
今後、トキエアにはどんな役割があり、どんな期待を背負うことになるのでしょうか。