×

【ご存じですか】 4月から義務化された「相続登記」 義務化の背景、どんな罰則が科される?《新潟》

2024年5月11日 19:01
【ご存じですか】 4月から義務化された「相続登記」 義務化の背景、どんな罰則が科される?《新潟》

2024年の4月から義務化された「相続登記」。義務化の背景、どんな罰則が科されるのかなどを取材しました。

相続登記とは

皆さん、相続登記とは一体、何なのかご存知でしょうか?

相続登記というのは、亡くなった非相続人から相続した不動産の名義を相続人に変更する手続きです。

簡単に言うと、親が亡くなった際に自分に不動産の名義を変更する手続きのことです。

今までは、相続登記(名義変更)をしていなくても 特に罰則はありませんでした。

故人の名前のままでも固定資産税を払っていれば罰則はありませんでしたが…。

罰則が科されることに

この4月から相続登記(名義変更)の手続きをしていないと罰則が科されることになりました。

この相続登記が義務化された背景、そして具体的にどんな罰則が科されるのか。

相続登記手続きの専門家に伺ってきました。

社会問題化していることが

訪ねたのは新潟市北区の司法書士事務所。様々な相続手続きなどに詳しい司法書士の鈴木秀明さんにお話を伺いました。

ディレクター
「今回、相続登記が義務化された背景にはどんな理由があるのでしょうか?」

司法書士 鈴木秀明さん
「所有者が亡くなったのにも関わらず、相続登記されていないことによって、登記簿が変わっていないことを所有者不明土地問題と言われています。これが全国で多数発生していて、これによって社会問題化しています」

所有者不明の土地が増え続けている

所有者不明の土地が増え続けていることが相続登記義務化の背景にあるということです。

国土交通省によりますと、日本の所有者不明の土地は全国土のおよそ24パーセント。

これは九州全土に匹敵する広さだと言います。

災害復興が進まないなどの問題が

司法書士 鈴木秀明さん
「これによって、街づくりの公共事業や災害復興復旧が進まない、不動産取引の円滑な手続を行うが難しいということもあります」

どんな罰則が科されるのか

相続登記が義務化されると、具体的にどんな罰則が課されるのでしょうか?

司法書士 鈴木秀明さん
「不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記しなければなりません。正当な理由がなく相続登記しない場合には10万以下の科料が課される可能性があります」

相続人が多数いる場合は全員が罰則の対象になるのでしょうか?

司法書士 鈴木秀明さん
「基本的には全員が罰則の対象になります」

救済策が新設される

相続人が多いなど、相続登記ができない時の救済策として、この4月から、相続人申告登記制度が新設されました。この相続人申告登記とは、不動産の所有者が相続が開始したことと、自分が相続人であることを法務局に申し出れば、それで相続登記義務を果たしたことになるというものです。

司法書士 鈴木秀明さん
「相続登記の手続き自体は、相続人自身が法務局に申請することは可能ですが、手続きのための書類を集めたり、相続人全員に連絡を取ったりと言うのは結構煩雑で大変だと思います。そのために我々、登記の専門家である司法書士がいますので、是非とも司法書士に相談していただければと思い ます」

納税通知書を確認

相続人が複数いるという話もありましたが、自分が、登記が必要かどうかはどうやったら分かるのでしょうか?

一番分かりやすいのが、固定資産税のための納税通知書です。

不動産を持っている方にはこれが送られてくるんですが、ここに亡くなった祖先の名義のままの土地などがある場合は手続きが必要です。

この納税通知書は、通常4月中旬に発送されますが、今年は能登半島地震の影響で新潟市では7月上旬、柏崎市では6月10日以降に発送されるそうです。

相続人であることが分かりにくい場合

この納税通知書で分かるものもありますが、司法書士の鈴木さんによりますと、なかなか自分が相続人であることが分かりにくい場合もあります。

それは、海岸線沿いなどに風よけのために木を植えている保安林や、自分達が所有者になっている私道です。

こうした不動産は税金がかからないため、毎年納税通知書が届くわけではないので 気づかない人もいるそうです。

保安林の場合、海沿いに太陽光発電を設置したり、道路を建設したりしようとする際に持ち主が分からなくて作業が進まないことがあります。

作業が大変になることも

1人1人に確認を取らなくてはならないので、相続人が増えてしまうと全員の確認が必要なので、作業が本当に大変になるになるそうです。

保安林や私道など、世代交代して気づかないことがありますので、気になる方は、市役所に問い合わせると分かります。

長い間手続きしていないと相続人が増えてしまって、実は遠い親族の相続人の1人になっているパターンもあるそうです。こうなると何十人も確認しないと相続登記ができないということになります。

自分が大勢いる相続人の中の1人だと分かった際は、相続人申告登記といって、自分が相続人の1人ですと申告すれば一応、相続登記の義務は果たしたことになります。

司法書士の鈴木さんによりますと、実際に罰則が科されるのは3年後になりますが、3年ですぐ罰則ではなく、相続登記の手続きを行っていない人には一度、この相続登記の手続きを行ってくださいという通知が送られてくるそうです。

この相続登記の手続きは、非常に煩雑な作業が多いため、専門家の司法書士に依頼することをお勧めするそうです。

そしてまだ相続登記を終えていない心当たりのある方、不安な方は新潟県司法書士会では毎週水曜日に無料相談会を行っています。また各地域でも司法書の無料相談会が定期的に行われています。


「夕方ワイド新潟一番」2024年4月16日放送より

    テレビ新潟のニュース