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「悲惨さが桁外れだった」現場で救護にあたった医師が初めて語った当時の状況 八田與一容疑者逃亡から2年

2024年6月29日 8:00
「悲惨さが桁外れだった」現場で救護にあたった医師が初めて語った当時の状況 八田與一容疑者逃亡から2年

2022年6月、大分県別府市で起きたひき逃げ事件では未来ある若者が犠牲になりました。
取材を進めていくと、事件発生直後の現場で偶然居合わせた人たちが懸命な救護を行っていたことがわかりました。

◆救護にあたった男性医師
「事故の現場の悲惨さが今まで見たほかの事故と比べて桁外れだった」

こう話すのは事件現場に偶然居合わせた医師の男性です。これまでは語ることを避けてきましたが、懸命な救護が行われていたことを遺族に伝えたいと、今回TOSの取材に応じてくれました

この事件は2022年6月29日、別府市の交差点でバイクに乗っていた男子大学生2人が車に追突され、このうちの1人が亡くなったものです。

2年前、医師は犬の散歩で現場近くを訪れていました。
その時、突然大きな衝撃音が…すぐに音がした方向に向かったといいます。

◆救護にあたった男性医師
「1人若い男性が道路の上で仰向けになって倒れていたので、まずそちらに近づいて声をかけて『大丈夫か』とか『手は動くのか』とか確認して、そちらが大丈夫だと分かって、その若い男性も向こうに『友達がいる』と言っていたので、パッと見たらバイクと車と(もう一人の)若い男性が倒れているのが見えた」

そして、重篤な状態だったもう1人の大学生の元へ。同じく偶然現場に居合わせた女性看護師2人とともに救護を始めたといいます。

◆救護にあたった男性医師
「駆け寄って本人に声をかけても全く反応が無い状態で。そういう確認をしている時に、通りがかりの人が2人来て『私看護師です、手伝います』と名乗り出てもらったので、一緒に体を仰向けの状態に戻して心肺蘇生をした。何とか助けようと思って、もちろん何も(医療器具を)持っていないから、とにかく胸を押していた。心臓マッサージに反応しないが、何とか3人で代わりながら、助けようという思いでやっていた」

およそ10分後、救急車が到着し、大学生は搬送されましたが、医師たちの思いは届かず、亡くなりました。

あれから2年。
現場から逃走した八田與一容疑者が道路交通法違反のひき逃げの疑いで重要指名手配されていますが、依然行方は分かっていません。
時間が過ぎていく中で、医師は今、伝えたいことがあるといいます。

◆救護にあたった男性医師
「亡くなられた男性を見た時に、明らかに若かった。何とか助けたいと思ったが、それでも助けられなかったのは申し訳なく、残された遺族の方に申しわけないという気持ちがあった。助けられなかったというのは心のどこかに残っている。この件に関しては誰にも言わないと思っていたが、報道で親御さんの思いや同級生の思いを見て、あの現場を知る身として、直接の犯人逮捕に繋がるかどうか分からないとしても、彼にとっての最後がどうだったのかということは伝える意味があるのかなと思った」
「私の声がどのような形で遺族の方に届くかは分からないけど、彼が誰にも相手をされなかったわけではなく、その場にいた人みんなで何とか助けようとしたけれども助けられなかったということは何かの形で伝わるといいと思う」

様々な人たちが複雑な思いを抱えて過ごしてきたこの2年。
1日も早い事件解決が望まれます。

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