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【特集】市民と救急隊をつなぐ消防の「通信指令室」に密着! 救急車の出動頻度は5分に1回 通報確認から救急車出発までの時間はわずか〇分 時間との闘い救急の最前線は今…

2024年9月11日 20:16
【特集】市民と救急隊をつなぐ消防の「通信指令室」に密着! 救急車の出動頻度は5分に1回 通報確認から救急車出発までの時間はわずか〇分 時間との闘い救急の最前線は今…

5分に1回って、何を表すかわかりますか?
実はこれ、長野県内での救急車の出動頻度です。

2022年の出動件数が県全体で10万5550件なので、単純に計算すると5分に1回、県内のどこかで救急車が出動していることになります。

9月9日は語呂合わせで「救急の日」。そして今週は救急医療に対する正しい理解を深める「救急医療週間」です。

現場からの第一報を受ける救急の最前線に密着しました。

「火事ですか?救急ですか?」

現場からの声をいち早く拾い救急車や消防車を向かわせる消防の“通信指令室”

市民の命と救急隊を繋ぐ“要”である。

■午前10時14分■
「プルルルル」

松本広域消防局通信指令課 南雲亘さん
「もしもし?119番消防ですが」

通報者
「救急車をお願いします!前の車が電柱にぶつかって…」

松本広域消防局通信指令課 南雲亘さん
「単独事故ということですけどその方は意識はありますか」

通報者
「頭から血が出てて…」

松本広域消防局通信指令課 南雲亘さん
「頭から血が流れてて車から出られない様子とかはありますか?」

通報者
「車からは自力で出てきて歩道まで歩いてきたんですけど、そのあと歩道で倒れ込んで…いまは歩道に寝っ転がってる状況です」

車を運転していた40代とみられる男性は頭から血を流し、目を開けたまま呼びかけには反応しないという。

「ヘリで行きます?」
「そうしよう。ヘリでもいいかもしれない」

松本広域消防局通信指令課隊員 長田一富係長
「現在ですね。ドクターヘリを要請してまして間もなく引き継ぐ予定です」

重症の可能性が高いと判断し、いち早く医師を現場に送り込むためドクターヘリを要請した。

通報があった現場は松本市新村の県道。警察によると男性が乗る軽乗用車が電柱に衝突したという。男性は松本市内の病院に搬送された。

松本広域消防局は松本市のほか塩尻市や安曇野市、麻績村など広い範囲を管轄している。

通信指令室では4人から5人でつくる班が3つあり、3つの班が交代で、24時間通報を受けている。松本広域消防局の1か月あたりの通報件数はおよそ1600件。その通報の、およそ6割は高齢者からだという。

松本広域消防局通信指令課 酒井康行主任
「私が(通報を)受けている限りでも高齢者の方のほうが多いのかなというふうには体感的にはありますね。やっぱり体調を崩されてしまう方がどうしても ご高齢の方の方が多いというイメージはあります」

県によるとおととし1年間の県内での救急車の出動件数は10万5550件。およそ5分に1回、県内のどこかで救急車が出動している計算だ。急病が66.2%で最も多く一般負傷が16.5%と続く。

通報を確認してから救急車が出発するまでの時間を計ってみると…、わずか2分もかからずに現場へと出動していた。

県によると通報から救急車が現場に到着するまでの平均時間は、およそ10分。

「119番消防です火事ですか?救急ですか?」

午後1時43分。再び交通事故の通報だ。

松本広域消防局通信指令課 南雲亘さん
「稲核ダムのところですかね。どんな事故になりますか」

通報者「車の正面衝突です」

松本広域消防局通信指令課 南雲亘さん
「車から出られないような様子はありますか?」

通報者
「引っ張り出しました!」

松本広域消防局通信指令課 南雲亘さん
「じゃあこれで救急車等たくさん向かわせますので4名ですね。合計4名けがされているということですね」
「いまの段階だと2名2名くらいで救急車に乗っけていけるのかなってっていう」

事故現場は山間部の国道

湯本翔太記者
「こちらは車が正面衝突した事故の現場です。手前の車は前方が大きくへこみ道の端にはバンパーが転がっています」

乗用車とワゴン車の正面衝突。山間部で起きた今回の事故でも救急車は通報からわずか10分で現場に到着。

2台の救急車が50代から60代の男女4人を病院へ搬送した。いずれも命に別状なし。

※通信指令室
一方で、緊急性の低い通報によって本当に必要な通報の妨げになることもあるという。

松本広域消防局管内の事例
「きょうの緊急当番医はどなたですか?」

松本広域消防局管内の事例
「玄関の鍵が開かないので開けて欲しい」

消防庁の事例72歳女性
「眠れないので…救急車をお願いします」

県内ではあまり多くはないもののこうした必要のない通報があるのも事実だ。

また県外では、こんなケースも…

(岡山市消防局)
「救急車は映えスポットではありません!」
「うわ救急車すげえ!記念に撮っとこ」

もし、急な病気やケガなどで救急車を「呼ぶ・呼ばない」で迷ったときは県救急安心センターに繋がる「#7119番」がある。看護師などの相談員から電話でアドバイスが受けられるというもので、県内では去年10月の設置以来半年間で5187件の相談が寄せられた。このうちおよそ2割が救急車が必要なケースで、残り8割は自力での受診を促したという。

松本広域消防局通信指令課 酒井康行主任
「いざという時の119番は誰でも焦ってしまうと思うんですけども、なかなか難しいとは思いますが 一度、深呼吸をして落ち着いて いただいて、はっきりと状況を 伝えて頂ければと思います」

通信指令室はきょうも、市民の声に寄り添っている。

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