【特集】地域おこし協力隊女性が「理想の村」づくり 田瀬湖ほとりに観光拠点 岩手・花巻市
特集は、地域の魅力を発信している「地域おこし協力隊」です。岩手県花巻市の田瀬湖のほとりに観光拠点を作り、古民家のリノベーションや観光農園、アドベンチャーイベントなどに取り組む女性です。その拠点は、自分の名前からとった「村」を称しています。
坊迫さん
「ぼうまい村村長の坊迫舞香です。誰もが"豊かだ"と思える村、"生きる"を楽しみたいならぼうまい村に来てください」
花巻市東和町の田瀬湖畔にある小さな村。それが「ぼうまい村」です。現在ここを新たな観光資源として活用するべく、手作りで整備をしています。村長は、滋賀県出身の坊迫舞香さん。2021年から花巻市地域おこし協力隊としてプロジェクトを立案、運営母体の株式会社HUG(ハグ)を立ち上げ、代表を務めています。
この古民家は、中核施設のゲストハウスにリノベーション中で、11月のオープンを目指しています。
坊迫さん
「泊まりにくるだけだと、泊まるしか楽しめないのはあると思うんですけど、私んとこ来たら、泊まれるし、遊べるし、食べれるよという3つを全部体験できるよっていう宿泊施設をいま作ろうとしています」
「泊まる」「遊ぶ」「食べる」のうち農業をはじめとした「食べる」は実践中です。1年目は「そば」を作りました。2年目と今年は「ホップ」を作っています。
坊迫さん
「エンタメ農業って言って、ちょっとみんなで楽しめるような農業を考えているので、ホップもオーナー制というものです」
そのホップを使って、醸造会社に委託し「ぼうまいビール」も作りました。さらに…
坊迫さん「これはピザ窯です」
なんと!基礎から手作りのピザ窯製作。面白いことにどんどんチャレンジしています。この積極的に行動する姿勢が地域おこし協力隊に採用された理由のひとつです。坊迫さんは、バイタリティー溢れる性格で、大学時代はアルゼンチンに留学。就職も型にはまるのが嫌で、メキシコの物流会社にした経歴の持ち主です。帰国後、地方創生に携わる会社で働いたあと、花巻市の地域おこし協力隊になりました。
花巻市は当時、ミッションを自ら提案できる地域おこし協力隊の公募を行っていました。坊迫さんは、本気で村を作りたいとプレゼンテーションしたそうです。
坊迫さん
「私も結構普通にサラリーマンもしてたけどやっぱり自分が社会に合わせていくのが、つらい部分もあったりして、どうしたらいいかなと考えた時に、自分でコミュニティーを作れば、自分も自分らしくいれて、そうやって社会になじめない人が集まってくれたら、みんなでデコボコのボコを埋めるじゃないですけど、そうゆうコミュニティーにしたいなというのがきっかけです」
自分らしさをさらけ出す坊迫さんの人柄に、地域の人たちも引き寄せられ、ぼうまい村の活動も活発になっていきます。2022年の秋には、大きなフェスティバルも開催しました。坊迫さんの活動について、花巻市では…
花巻市の担当者
「地域の人だったり、自分一人の力でやるんじゃなくて、誰かとつながって、その人たちも頼りにしながら、大きなイベント成功させてるというのはすごいなと思いますね。(坊迫さんは)応援されやすい力があるというか実際イベントやっても彼女結構人集めますししかも近場とかじゃなくて、全然遠くから集めたりもするので、やっぱりそれは彼女本人が持っている魅力なのかなと」
6月1日。花巻をメイン会場に、チーム制のアウトドアスポーツ複合競技「はなまきアドベンチャーレース」が行われました。
坊迫さん「みなさん、この川下りますよ。距離で言ったら10キロくらい下ります」
もともと、田瀬湖を生かしたアクティビティーを考えているぼうまい村は共催。坊迫さんは大会の実行委員長を務めました。レースは地図とコンパスを頼りに、自転車とランニング、そして川下りでゴールを目指します。チェックポイントには、わんこそばや大谷選手にあやかった2刀流体験などのアトラクションが設けられています。
坊迫さん
「普通に観光してもらって体験できるようなことを提供するのではなく、私だからこそみたいな楽しみ方、私が思ってる岩手の魅力ってこういう自然だったりとか、アクティビティーとか、文化だったりするので、そういうものを体験していただきたい」
参加は、北は北海道から南は九州までの14チーム。その中にはなんとホリエモンこと堀江貴文さんもいましたよ。ゴールでは、鹿踊(ししおどり)も披露され、イベントは大成功に終わりました。
今年、ぼうまい村では養蜂をはじめました。巣箱を数カ所に設置し、自然のミツバチを呼び寄せます。
坊迫さん
「自然と共存するというのが(村の)大きなテーマでその中で誰もが豊かだと思える持続可能な村というのをコンセプトにしてるんですけど、環境問題の持続可能っていうだけではなくて、メンタル的な部分も。やっぱ無理したら続かないよねってところでリラックスして、解き放たれたような形の村にしていきたいなと思っています(村の)副題で、ハイパーエナジーヴィレッジってなってるんですけど、エナジードリンクみたいな存在になりたいなと」
県内外の人を引き寄せる坊迫さん。地域のため、そして自分のためにぼうまい村を毎日アップデートし続けます。