【山林火災】大船渡市立綾里小で卒業式 制服に込められた ”あたたかい気持ち” 岩手県
山林火災で大きな被害を受けた岩手県大船渡市三陸町綾里の小学校で19日、卒業式が行われ、いまも避難生活を送る泉佳澄さんが巣立ちの春を迎えました。
卒業式で着た制服に込められた「あたたかい気持ち」と、中学生になるいまの思いを取材しました。
19日の朝。
避難所から小学校の卒業式に向かうのは、泉 佳澄さんと母の惠さん(45)です。
佳澄さん
「今まで通ってきた小学校で卒業式を迎えることができてうれしいです」
佳澄さんの通う綾里小学校ではみんな卒業式に中学校の制服を着ます。
この制服には、「やさしさ」が詰まっています。
山林火災が起きた日の翌日。
佳澄さんは、家族と避難所にいました。
母・ 惠さん
「娘がことし中学校にあがるので、それで2~3日前に、制服をとりにいったばっかりなんですね。それも持ち出せずに一度だけ袖を通しただけなんですけど、それを持って逃げられなかったのが申し訳なかったなと思って」
火災が起きてから13日目。
避難指示が解除されました。
大好きな家は、どうなっているのか…
家族の想い出がつまった家でした。
何も見つかりませんでした。
母・惠さん
「家があった時のままの様子なんですけど、子どもたちの様子は、でもきっと心の中は計り知れない。いろんな複雑な思いでいると思います」
中学校の制服も燃えてしまいました。
そんな佳澄さんのもとにある知らせが届きました。
地元の洋服屋さんが新しい制服を支援してくれることになりましたが、それが届くまでは、地域の高校生のお姉さんが中学生の時に着ていた制服を貸してくれることに。
佳澄さん
「ちゃんと制服一式揃うかが心配だった。とてもうれしかったです」
弟・実輝くん(9)
「また一つ、いい生活が、お姉ちゃんに訪れるのがいいと思いました」
19日の卒業式。
やさしさがつまった制服に身を包んだ佳澄さん。
感謝の気持ちを持って、胸を張ってのぞみました。
母・惠さん
「いろいろなことがありましたけれど、娘の晴れ姿を見られて気持ちがほっこりして幸せな気分になりました」
中学生になる佳澄さんは、どんなあしたをみているのでしょうか。
佳澄さん
「家族がまた元気になるように笑顔を見せて、少しずつ明るいいままでを取り戻していく」