ハザードマップの改定進める 鶴岡市の土砂崩れから1年 「大みそかの異変」②
山形県鶴岡市で発生した土砂崩れからまもなく1年です。シリーズでお伝えしています「大みそかの異変」、2回目は自然災害の教訓をどう生かすのか、自治体が進めてきた対策に焦点を当てます。
去年の大みそかの未明、突如崩れた標高およそ50メートルの山。
鶴岡市西目の住宅2棟を含む17棟を土砂が飲み込み高齢の夫婦2人が亡くなりました。
土砂災害の後、地元地区の公民館には崩れた山の中腹が赤く塗られた新しいハザードマップが張られました。
赤く塗られているのは警戒区域の中でも特に、大きな被害が懸念される「特別警戒区域」・いわゆるレッドゾーンです。建物や住民の生命に著しい危害が生じる恐れがあるエリアです。
鶴岡市には1015か所の土砂災害警戒区域がありますが、このうち、7割近くの696か所がレッドゾーンです。しかし、市民に配布されているハザードマップには現在、レッドゾーンが記載されていません。
鶴岡市 防災安全課加藤明課長「2010年から2017年にかけて作成されたものになっている。”レッドゾーン”特別警戒区域が示されていなかったり、現在の環境と合わなかったりするところが出てきている」
鶴岡市は、今回の土砂崩れで甚大な被害が出たことを踏まえて新たに住宅地に近いレッドゾーンを記載したハザードマップ作成を進めてきました。更新にあたってことし9月から市内全域でワークショップを開き、▽避難経路や避難所は今のままでよいのかどうか、▽過去に起きた災害情報は最新のものになっているかなど、住民から意見を聞き取りました。
鶴岡市 防災安全課加藤明課長「災害履歴については市でも把握していなかったそこに住んでいる近所の人しか分からなかった小規模な崖崩れであったり、道路をふさぐような土砂崩れであったり、そういったことが意見として数多く出されていた」
住民の意見を反映した新しいハザードマップは来年3月までに完成する予定です。
鶴岡市 防災安全課加藤明課長「まずは自分たちが住んでいる地域がどういうところなのか理解してもらいハザードマップ作成後も地域の方に出向いて特徴などを説明しながらさらに意識を高めてもらいたいと考えている」
土砂崩れの発生後、西目の災害現場と似た地層で住民への被害が懸念される場所が市内に210か所あることが分かりました。
土砂崩れの要因の一つとして専門家は雪解け水を指摘しています。そのため、例年6月に行っている点検を雪解けの時期に合わせて3月に前倒しして行いました。点検の結果、直ちに住民の避難が必要な箇所はありませんでした。しかし、対策が必要な場所が1か所見つかりました。
サクラの名所として知られる大山公園です。住宅地に隣接する斜面に亀裂が見つかりました。
市は180平方メートル表面の土を削り、水が浸透しないよう覆う対策を行い、11月中旬に完了しました。また、ほかにも14か所が今後、異変がないか経過観察をする必要があり、市は1年に1回、点検を継続していく方針です。
鶴岡市 防災安全課加藤明課長「鶴岡は災害が少ないと言われているがいつどこでどのような災害が起きるか分からない。意識は鶴岡市の中でも高まっているものと考えている」
県内で土砂災害警戒区域に指定されている場所は11月17日現在、「5186か所」で、このうち特別警戒区域・いわゆるレッドゾーンは「3518か所」に上っています。
YBCが26日、県内の市町村に聞き取りをしたところ、ことし、ハザードマップを更新したのは上山市、新庄市、米沢市で、来年度、ハザードマップの更新を予定しているのは内水氾濫についてのものも含めて、尾花沢市と中山町、朝日町、大蔵村の4市町村。2026年度までに予定しているのは寒河江市、西川町、大江町、高畠町、白鷹町、飯豊町、遊佐町の7市町あります。
また、鶴岡市の土砂崩れを受けて山形市や東根市、尾花沢市などでは市独自でチラシを作成したりSNSなどで住民に注意喚起を行ったということです。
災害から命を守るためには、自分が住む地域を知り、日頃からハザードマップで危険な箇所がないか、避難場所はどこにあるのかなどを確認しておくことが大切です。